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1日家族をコンセプトに、七尾市初の合宿施設 「One・Day・Fam」誕生-One・Day・Fam

印刷ページ表示 更新日:2018年4月3日更新

 

One・Day・Fam

1日家族をコンセプトに、七尾市初の合宿施設 「One・Day・Fam」誕生! ワン・デイ・ファム

市を挙げて、サッカーやテニスなどのスポーツ合宿を推進・支援している七尾市に、市内で第1号となるスポーツ応援合宿所「One・Day・Fam(ワン・デイ・ファム)」が、29年4月にオープン。これまでありそうでなかったスポーツ合宿をターゲットにした宿泊施設の分野に目をつけ、公務員を辞めて起業した宮谷政己代表に、起業に踏み切るまでの経緯、スポーツ合宿応援施設運営にかける熱き思いを披瀝いただいた。

なぜ、スポーツ合宿応援施設!?

宮谷政己様金沢市職員として30年余り勤めた宮谷氏は、起業して何かビジネスをしたいとかねてより模索していたが、具体的に何をしたいというところまで煮詰まっていなかった。たまたま小学校からサッカークラブに所属している子供に付き添って各地に遠征に出かけたり、役員の一人として大会運営に携わるようになり、スポーツとのかかわりが深まってきていた。そんな中、七尾市のサッカー場で、現在も事業部長として所属するヘミニス金沢FC主催のサッカー大会を運営・実行する際、和倉地区に子供たちやその父兄を対象とした宿泊施設が足りないことを痛感する。和倉温泉周辺には温泉旅館や民宿は数あるが、合宿所的な簡便な施設が全くなく、ビジネスホテルはあるものの、父兄からするとそれでも宿泊単価が高く負担になることから、もっとリーズナブルな合宿所があればいいのにと感じていた。そんな思いを抱き続けているうち、ないのであれば自分がやってみようと思うように。子供の県外遠征に付き添い、新潟や静岡などの合宿施設をいくつか見てきて、七尾市のサッカー場やテニスコートが整備されている和倉地区周辺で合宿施設を作る決意を固める。

資金調達と奥さんの同意というハードル

まず、退職金を全て注ぎ込んでも初期投資費用には足りないため、事業に必要な資金を銀行から借りることができなければ、このプロジェクトは前に進まない。早速、自分なりに年間でどれぐらいの集客をし、ランニングコストにどれぐらいかかるかといった事業計画書を作成し、金融機関に何度も通って熱意を伝え、退職金で土地代を賄えれば建物の建築費はローンで返済が可能であると銀行を説得し、何とか融資が受けられるめどが立った。次のステップは、何よりも高いハードルである奥さんの同意を得ること。「私の思いを伝えたところ、公務員を辞めて起業することには大反対で、1ヶ月あまり口をきいてもらえなかった。私がどれだけ説明しても受け入れてもらえないため、見通しの甘い事業計画であれば銀行が融資してくれないこと、提出した事業計画で収益が見込めるから貸してもらえることを銀行に説明してもらうことで何とか理解してもらおうと考え、とにかく一緒に来てくれと家内を同行して銀行に行きました」と振り返る。銀行から資金計画ならびに返済計画についての詳細な説明を聞き、半分納得、半分反対という感じで何とか首をしぶしぶではあったが縦に振ってもらえたという。七尾市の創業支援の補助金も活用し、地元の信用金庫と政府系金融機関、商工会議所の協調融資の仕組みを活用して借入にこぎつけることができた。


食堂です。 ワン・ディ・ファムの内観です。

理想的な土地に巡り会う

借入のめどが立ったことから、土地探しを始め、和倉地区や能登島地区を物色していたが、なかなかこれという土地が見つからなかった。そんなある日、サッカー場とテニスコートの傍にパチンコ店跡地の広い土地が売りに出ていたのは知っていたが、あまりに広かったため自己資金ではとても買えないだろうと聞いてもみなかった土地について、不動産屋から交渉の余地があるかもしれないとの連絡が入り、この土地の所有者に掛け合ったところ、予想外にリーズナブルな価格で交渉が成立し、当初予定していた予算内で土地を購入することができた。広さは900坪程度あり、パチンコ店の基礎部分がそのまま残っていたが、それを更地にするとさらに出費が嵩むことから、その基礎部分をアスファルトで覆い、その上にフットサルコートを作ることで初期投資費用を抑えた。

土地

ワン・ディ・ファムの施設概要

昨年一年間に、七尾市にはスポーツ合宿で4万人近くが訪れているが、平成27年7月に北陸最大級の人工芝テニスコート(全24面)の完成を機に、さらなるスポーツ合宿の利用拡大が見込まれ、そのうち月間250人前後をワン・デイ・ファムとして誘客できればと考えている。同所の収容人員は定員27名(最大50人程度)で、土日の週末、春休み、夏休みの利用を見込む。事業計画においても平日の利用はほとんど見込まず、週末のみで想定している。宿泊費は1泊2食付きで一人5千円(10人以上の団体)で提供。合宿の場合は、寝泊まりでき、風呂に入れて、洗濯ができれば十分との考えで、洗濯機5台と乾燥機も完備。旅館や民宿、ビジネスホテルに宿泊した場合は、外部のコインランドリーまで行かなければならず、利便性も考慮してある。各部屋には広々としたロフトも完備し、ゆったりとした空間でくつろぐことができる。大浴場は一度に10人程度が入っても余裕の広さである。建物に隣接してナイター照明付きフットサルコート、40人~50人が座れる屋根付きのバーベキューサイトも整備されている。


お風呂です。 ランドリーと客室とコミックコーナーです。

オープン当初は大わらわ

今年は、ゴールデンウィークから本格的に営業を開始したが、いきなり星稜高校サッカー部50人の4連泊だったため、食事の対応に大わらわで、ご飯をどれだけ炊けばいいのか、料理を担当する奥さんはスポーツフードアドバイザーの資格を有するとはいえ、一度に50人前の調理をするのは初めてのことで、てんてこ舞いだったようだ。とりわけ、ご飯の量をどれだけ用意すればいいか分からず、とりあえず夕飯に10升準備し、7升まではすぐ出せるように炊いておき、3升分は冷凍しておいたところ、あっと言う間に7升が高校生たちの胃袋に収まり、慌てて解凍し始めたものの間に合わず、後からおにぎりを50個作ってみんなに届けたという。料理も50人分となると厨房内に並びきらず、この時が最も大変だったと振り返る。献立については、大会等があると昼は仕出し弁当が出ることが多く、揚げ物類が中心のおかずになるため、夕食では揚げ物類は極力出さないことを心がけて健康志向にも留意している。とはいえ、若い人は魚よりも肉を求めるため、肉料理がメインになるが、牛肉はコスト的に厳しく、豚肉や鶏肉を使ったメニューづくりに苦労している。

施設の名称は長男の発案

合宿施設の名前をどうするか宮谷さんなりに思いを巡らせたが、これと言った名前が思い浮かばず、家族に相談し議論した中から、「長男が宿泊した人が一日家族気分になれるようなという思いを込めて『ワン・デイ・ファム(ファミリーの略)』はどうかとアイデアを出してくれ、これはいい名前だということになり、命名しました」とのこと。

誘客面での取り組み

テラスです。10月から楽天トラベルに出店し、楽天からも予約が取れるようになり、地元だけでなく、県外からの利用者も期待できる。現時点では、次男が全国制覇した当時に大変お世話になった星稜高校のサッカー部が一番のお得意先であり、県内の中学・高校のサッカー部やテニス部の顧問の先生方に利用をお願いしているところである。また、今年は大学のソフトテニスの全国大会が七尾市であったことから、その際に各大学の顧問の先生方にも今後の利用をお願いして回ったとのこと。七尾市においても広報に「ワン・デイ・ファム」の施設紹介を掲載してくれ、PR面でのサポートを得ている。さらに、長年にわたって子供のサッカークラブの世話役を務めてきたことで知り合った人脈を活用し、紹介してもらえるよう努めている。時には、自前のホームページを見て問い合わせが入ることもあるとのこと。

 

 

 

当面の課題は平日と冬場の誘客策

平日の利用客を増やすアイデアとして、企業の研修旅行などに使ってもらえるよう提案してみたいと考えている。これから冬に向けての利用客の確保も目前に迫った課題で、スキーやスケートは近隣に施設がないため、バスケットやバレー、ハンドボールなど、屋内の体育館を使って練習できる部活動の誘致を目論む。また、自動車学校の合宿で免許を取得する人たちの宿泊施設としての利用も提案中だ。さらには、スポーツ合宿だけでなく、ゴルフ、釣り、ツーリングなど、一般の方の素泊まりにも対応しており、温泉旅館までの豪華さを求めない宿泊で有れば、十分に満足してもらえる施設である。施設の外に屋根付きのバーベキューサイトがあることから、冬に中島の牡蠣を焼いて食べる飲食スペースとしての活用ができないか、そんなことも思案中である。

学生たちにとっての七尾の両親をめざして

人を使えば楽になるものの、人件費が増えることから、風呂場やトイレの掃除、シーツの洗濯、ベッドメーキングは全て宮谷さん自身がこなしている。「まだ始めたばかりで何とも言えないのが正直なところですが、1年を通してコンスタントに利用してもらえる流れが見えてくれば、やって良かったと思えるのではないでしょうか」と顔を綻ばす。将来的には、何度も利用してくれる学生さんたちが、七尾の我が家に帰ってきたようなほのぼのとした気持ちになれる、七尾のお父さん、お母さんとして親しまれるようになることがゆくゆくの夢なのかもしれない。今までありそうでなかった新しい分野に特化した新しい合宿施設「ワン・デイ・ファム」の今後の広がりが楽しみである。

店舗情報

外観

店名

スポーツ応援合宿所

One☆Day☆Fam ワン・デイ・ファム

住所

七尾市石崎町乙部19番地9

TEL (0767)57-5257
URL http://www17.plala.or.jp/One-Day-Fam/