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山代温泉で美しい自分再発見!レンタル着物でしっとり街歩きを提案-(有)谷口呉服店

印刷ページ表示 更新日:2018年4月3日更新

(有)谷口呉服店

タイトルバナー

北陸新幹線の開業効果により、金沢はもちろんのこと加賀温泉郷への入り込み客数が増加に転じ、国内はもとより海外からの観光客も増えてきている。そんな環境下にあって、加賀温泉郷の一つ山代温泉で104年にわたり呉服商を営んでいる谷口呉服店では、そうした観光客に着物を着て温泉街を闊歩してもらおうとレンタル着物事業をスタートし、好評を得ている。呉服店の新たな取り組みについて、谷口呉服店4代目の谷口敦子代表にお話を伺った。

山代温泉で百年余の歴史ある谷口呉服店

谷口敦子さん大正元年創業の谷口呉服店は、4代目の谷口敦子さんの曾祖父や祖父の時代には、店舗の建物が大きかったことから旅芸人の芝居小屋として貸していたこともあったという。当時は、呉服はもちろんのこと、洋服も仕立てないとない時代だったため、洋服の仕立てもしていたそうだ。ところが、昭和12年の山代大火で温泉街がほとんど焼失し、その時に建て直して以降、時代に応じて数回の改装はしてきたが、平成14年に県と加賀市の補助を得て街の景観整備の一環として改装することになり、昭和12年の大火で焼失する前の店舗の造りを再現したいと考え、残っていた写真や資料をもとに忠実に再建し、現在の店舗ができあがる。山代温泉の中に店を構えてはいるものの、谷口呉服店の主要な顧客は一般の人たちで、温泉旅館で働く仲居さんはごく一部とのこと。したがって、バブル崩壊やリーマンショックの影響を受けて地元旅館が相次いで倒産したが、そうした影響は受けていない。

着物への憧れを大切に、厳しい時代を乗り越える

谷口さんが後を継いだ20年前は、まだ結婚するとなると花嫁道具一式として桐タンスを持っていく時代で、桐タンスを持って行くからには空っぽという訳にはいかず、道具の一つとして着物を詰めていくのが当たり前で、お嫁に行く本人の意志とは関係なく、親の見栄で揃えるような時代だった。バブル崩壊後の長い不況とそれに追い討ちをかけるリーマンショックを経験し、勿体ないことは控える傾向が強くなり、厳しい時代が長く続いている。それでも、石川県は昔からお茶やお花といった稽古事が盛んで、着物はそうした習い事を嗜む人には必要不可欠なものであると同時に、加賀友禅や牛首紬は地場産業でもあり、この地に生まれた女性にとっては、価格的なことは別として、子供の頃から着物に対する憧れはとても強いものがある。


谷口呉服店2 店内

地元密着の商い、着物を着る機会創出に腐心

着物を販売することと併せて、お客さんが着物を着る機会を創出することも大切と考えている谷口さんは、不定期ではあるが、季節に応じた呉服の展示会を開催している。その際は、お客さんの購買意欲を刺激するような特典をその都度考え、販促につなげる工夫をしている。また、夏に浴衣パーティーを開催することもあるそうで、マジックショーをするなど、その都度いろんな趣向を凝らしている。参加するのは、同店が日頃行っている着付け教室の生徒さんたちとその友人が多い。着付け教室は、自宅で週3回行っており、20代から60代までと幅広い年齢層の生徒さんが十数名いる。そうした生徒さんや常連のお客さんの口コミで、谷口呉服店の商いの輪が広がっている。

内観

レンタル着物「加賀結衣」事業がスタート

山代まち歩き協議会の有志が集まり、これからの山代温泉の方向性を語り合う中から、金沢市内をレンタル着物で歩くのが観光客に人気とのことで、山代温泉でもやってみてはどうかということになった。そこで、まずは有志が実際に金沢のレンタル着物を体験してみようと、東山に出かけて体験してみたところ、着物を着るだけでテンションがかなり上がることが分かった。取引のある問屋から洗える着物を仕入れて準備を整え、レンタル着物「加賀結衣」の事業をスタートさせる。この企画を最初に利用したのは外国人客で、その後これまで数十人あまりの観光客が利用している。山代温泉観光協会を通じて各旅館に案内パンフレットを置いてPRし、旅館の中にはこの着物レンタルも含めた宿泊プランを販売しているところもあるとのこと。さらには、じゃらんや日本旅行でもPRしている。「実際に体験された方たちは大変喜ばれて、手ぶらでやってきて変身願望を満たすことができるところが魅力のようです。また、そうした人たちの着付けを、うちの着付け教室の生徒さんたちに手伝ってもらえることから、生徒さんたちの活躍の場にもなっています」と、谷口さんは顔をほころばす。生徒さんの中にはヘアセットの勉強をしている人もいるため、髪のセットも含めた変身体験ができる。利用した人たちは、インスタグラムに着物姿の写真を投稿したいようで、インスタ映えする撮影に夢中とのこと。


加賀結衣 記念写真

 

 

プラスαのサービスの可能性を探る

せっかく着物姿で温泉街を散策してもらう滅多にない機会だけに、この着物姿で行けば特典があるお店が何軒かできると相乗効果が上がるのだが、まだ協賛店舗を確保するまでには至っていない。将来的にはそうした方向に持っていき、着物で散策する人たちにさらなるお楽しみを提供できればと考えているところだ。外国人観光客が日本の伝統工芸である着物を見たくてふらりと入って来ることが時々あるようだが、英語で説明することができず残念に思っていることから、「英会話を勉強して片言程度であっても着物の魅力を外国人に伝えたい」と、谷口さんは自己研鑽に努める覚悟だ。

おかみさんたちがイベントの中核

山代温泉通り商店街では、おかみさんたちが中心になって様々な催しを行っている。1月には「おたふく初笑い市」として、スタンプラリーや大抽選会、いいものいろいろ即売会、福袋の販売、海鮮なべの振る舞いなどを開催。4月には「おたふく花祭り」として、スタンプラリーや春苗のプレゼント、たけのこご飯、赤飯、大福などの販売を。夏には温泉通りを歩行者天国にして、様々な屋台、ステージイベントで賑わう夏まつりセールを開催している。そのほか、全国各地の作家さんが自らの作品を出店する「夏のやましろアートマーケット」も開催。こうした商店街のイベントとうまくコラボレーションできるような方向に持って行ければ、さらなる賑わい創出につながることが期待できる。

まちなかの「ほっとする」拠点、それが谷口呉服店

店内1

呉服店ではあるが、地元のお年寄りが昼間集まって世間話をしたり、いろんな相談事に来たり、街のサロン的な役割も果たしており、2時間、3時間滞在するお客さんも多い。文字通り街の中のほっとできる拠点としても愛され親しまれている。長い間タンスの中で眠っていた着物を持ってきて、どんなコーディネートで着れば自分に合うかを尋ねられるケースも多く、そんな時には谷口さんがその人に相応しいコーディネートを提案し、着物に関わるよろづ相談所の役割も果たしている。谷口呉服店では、呉服だけでなく、婦人服、学生服、幼稚園の園服、小物雑貨など、昔からのお客さんがいるため、いろんな商品を扱っているが、将来の方向性として専門店化すべきなのかどうか、4代目として思案しているところでもある。山代温泉通り商店街が一丸となって賑わい創出のために実施している様々なイベントとレンタル着物「加賀結衣」の事業があいまって、山代温泉の魅力発信につながることを願って止まない。

 

 

 

 

 

店舗情報

外観

店名 (有)谷口呉服店
住所 加賀市山代温泉温泉通り12番地
TEL (0761)77-1810
URL http://kagayui.amebaownd.com/