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三日市商店街で百六十年余  地元に愛され、求められる商いに邁進 -(有)ふる里の味すみげん

印刷ページ表示 更新日:2018年4月3日更新

(有)ふる里の味すみげん

タイトルバナー

小松駅前に古くからある4つの商店街においても、バブル崩壊以降、経営難や後継者難が要因で空店舗が増え始め、一部シャッター通りと化している寂しい現状が散見され、賑わい創出や活性化が喫緊の課題になっている。そんな環境下にあって、三日市商店街で160年あまり地元に愛され、繁盛店として暖簾を守り続けているのが(有)ふる里の味すみげんである。同店の次代を担う6代目・角谷亮専務に、地域密着の商いで日々賑わっている秘訣を伺った。

商いにネットを活用し、新市場・新規顧客を開拓

角谷 亮さん6代目となる角谷専務が入社した12年前、ホームページの必要性を痛感し、独学でホームページづくりに取り組み、まがりなりにもネットショップとして機能する程度のものを作り上げた。しかしながら、素人の作ったホームページだけに、思うように売上が伸びず、壁にぶつかっていた。そこで一念発起し、東京・神田のデジタルハリウッド大学院のオンラインセミナーを7ヶ月あまり受講し、プロとして仕事ができるレベルのプログラミング技術はもちろんのこと、商品を美味しそうに見せる画像の撮り方、ホームページを見るお客さんの目線の動きなどを習得する。なおかつバナー広告を積極的に活用することで、ネット販売の売上が一段階伸び、それに伴ってリピーター客が増えたことが同社の強みとなっている。現在は、売上全体の2割程度をネット通販が占めるまでに。そこには、ホームページのこまめな更新と大幅なリニューアルをうまく組み合わせ、常に変化のあるページづくりに力を注いでいる専務の日々の地道な努力がある。

日々感じる160年の暖簾の重み

「うちの商品は、量販店のように価格競争が激しい市場では扱えないものを独自のルートで仕入れているため、お客様には質の高い商品を求めていただいており、そうした商品を扱えるところが一番の売りです。昆布一つとってみても、同規模の店でこれだけ高品質で種類豊富な昆布を扱っている店はありません」と胸を張る。新規参入しようと思ってもなかなか入れない、歴史と信用で培われた商習慣のようなものが言葉の端々に感じられる。言葉ではうまく表現できないものの、日々の生活の中の何気ない一コマの中にも、先祖代々受け継いで今日まで商いをやってきている暖簾の重みを感じる瞬間が多々あるようだ。


昆布 商品

最大の繁忙期は、お歳暮商戦の12月

お中元やお歳暮の時期は、商いの稼ぎ時である。とりわけ御歳暮の時期は、海の幸が美味しい季節でもあることから、旬の美味しい食材を買い求めるお客さんが集中する。期間が限定されるかぶら寿しや大根寿し、新巻サケ、棒鱈、いなだ等々、名前をあげているだけで左党にはたまらない一品ばかり。御歳暮商戦の12月の1ヵ月間で、年間売上の3割を占めるというから、いかにこの時期に注文が殺到するかが分かる。

人気商品

看板商品である出汁に注力すべく、だしソムリエの資格を取得

すみげんの看板商品は何なのか。あまりに多くの商品を扱っているため、なかなかどれか一つを挙げるのは難しいが、今は昆布や鰹節といった出汁系の商品に力を入れ、高品質な品揃えを充実させている。それを裏付けるべく専務はだしソムリエの資格を取得。だしソムリエの資格は、3級からはじまり1級まであり、昆布や煮干しの種類による味や香りの違いはもちろんのこと、どの出汁をどんな料理に合わせるとベストか、その出汁が生まれた歴史やそれにまつわる文化、世界中の出汁と比較した日本の出汁の良さなど、幅広い知識が求められる。専務は、平成29年2月に3級、5月に2級、7月に1級を受け、全て合格し、だしソムリエに。「この資格を取得したきっかけは、家族で自店の強みは何かを語り合った中で、出汁が看板商品であるからには、お客さんに対しても説得力があるこの資格を取得することを自ら宣言して受けた」と振り返る。


佃煮 店内

自前の出汁の美味しさを自家製そばで提供

遡ること8年あまり前、同社の角谷社長は、趣味が高じて横浜の蕎麦屋に1ヶ月あまり住み込みで修業に行き、そば打ちの技術を身につけて戻り、商店街のイベントの際に腕前を披露していた。そのそばが美味しいと評判になり、昨年3月から自家製そばの提供を始める。そば屋と言っても毎日営業する訳ではなく、週に3日程度、1日15食限定だ。これによって同店のだしの素材の良さ、美味しさを知ってもらうことが目的。そばセットには、自店の佃煮や珍味も添えられ、店の商品を食べてもらうことで、気に入った人が購買してくれることにつながれば、なお嬉しいとの思いもある。三日市商店街の中に、飲食店や喫茶店がなくなり、ランチを食べるところがなかっただけに、新たな集いのコーナーとして、近隣の人たちから喜ばれている。

マスコミの影響力がネットに即反映

昨年、テレビ番組「秘密のケンミンSHOWで金沢のかぶら寿しが紹介された時は、ネットの注文が殺到し、発送に大わらわの状態が数日続いたという。「テレビで紹介されると、それなりの反応はあるものの、一過性の賑わいであり、やはり日々買い物していただく常連のお客さんが何よりも大切」と専務は力を込める。小売りが9割、業務用卸が1割という状況であるが、業務用は1回の注文金額が大きく、定期的にまとまった量の注文が入る先が多いため、今後は業務用卸の分野も少しずつ伸ばしていきたい考えだ。御歳暮の時期だけをみると、ネット注文のリピート率は55%あまりとかなり高く、それだけ一度注文したお客さんが、すみげんの商品に満足し、お気に入りになった証左でもあり、リピーター客を大事にし、より顧客満足度の高いサービスの充実に努めていく覚悟だ。

商店街に賑わいを復活させるべく「まちゼミ」に挑戦

三日市商店街においてもシャッターが降りたままの店舗が増え、賑わい創出が課題となっている中、次代を担う角谷専務をはじめとした若手商店主たちが商店街活性化のために資するNPOを設立。仲間同士のコラボレーションを強化し、各店の魅力をPRできるような、規模は小さくても自分たちの店の売上につながるようなリターンのあるイベントを行う方向で話し合う中から、金沢市内の商店街で既に実施されている「まちゼミ」を小松駅周辺の商店街や個人商店でも開催することに。同店の場合は、だしソムリエでもある専務が、美味しい出汁の取り方、出汁を飲んでみませんか、かつおぶしを削ってみませんか、そんな切り口で食育を兼ねて開催したい考えで、準備を進めている。

まちゼミ

店舗情報

店舗の外観

商号 有限会社 ふる里の味すみげん
住所 小松市三日市町9
TEL (0761)22-4214
URL http://www.sumigen.co.jp/