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若い世代の思いを形にしたリニューアルで 魅力ある店に一新!一大杉商店

印刷ページ表示 更新日:2018年4月3日更新

大杉商店

タイトルバナー

小松駅前に広がる商店街の一つである八日市商店街において、江戸時代から米屋を営み、現在はお米と灯油販売を生業としているのが大杉商店である。八日市商店街においても取り巻く環境は厳しく、9代目の大杉周平さんは、米と灯油だけでなく、商店街に来たお客さんが、ここは何の店だろうと興味を抱き、来店につながる店づくりの必要性を感じ、『お米と雑貨のある暮らし』をテーマに店のイメージを一新。新しい時代に合った店づくりに励む9代目にお話を伺った。

昔ながらの町家の良さを残しつつリニューアル

大杉さん大杉商店の建物は、建てられてから100年余の歳月が経過しており、今は小松市内でほとんど見ることができない蔀(格子の裏に板を張り、引き上げれば釣り金具で留められるようにした戸)や大戸を備えた昔ながらの町家である。店内に入って天井を見上げると、太い大黒柱と梁材の骨組みが家を支えている町家の堅牢な構造に圧倒される。小松市のこまつ町家認定を受けていた旧店舗を平成28年4月にリニューアルし、それまでのお米の袋が並んでいるだけの文字通りのお米屋さんから、小物や雑貨が並ぶ明るく洒落た店内の片隅にお米の袋が静かに出番を待つレイアウトに変更され、こまつ町家の伝統的造りの良さを残し活用しつつ、新たな魅力を併せ持つ店舗に生まれ変わった。

子供服の店を閉め、家業の9代目を継ぐ

6年前まで周平さんは子供服の店を営んでいたが、先代が急死するという想定外の出来事に直面し、「自分のやっている子供服の店は、一旦閉めたとしてもやりたくなったら再開することはできるが、先祖代々8代にわたって受け継がれてきた大杉商店の暖簾を自分の代で途絶えさせるわけにはいかない」と一念発起。子供服の店を閉め、大杉商店の9代目を継承する。父親が元気なうちは自分の好きなことをやっていたものの、心の中ではいつも先祖が連綿と受け継いできた暖簾の重み、歴史、営みをひしひしと感じていたに違いない。新しくなった店の壁に大杉商店に代々伝わる法被が飾られているのもそんな思いの表れだろう。法被の傍には、子供服店で扱っていた名残の商品が置いてあり、その好対照が、亡き先代と対話しているようないい雰囲気を醸し出している。


内観 店内

『お米と雑貨のある暮らし』がテーマ

リニューアルにあたり、商店街を行き交うお客さんが自店に用事がなくてもふらっと入ってみたくなるような店づくりができないかと思案していた。たまたま周平さんの奥さんが、結婚するまで雑貨店で働いていた経験と人脈を活かし、『お米と雑貨のある暮らし』をテーマに、レトロなお店の中に日々の暮らしに潤いや癒しをプラスしてくれる小物や雑貨などを並べ、誘客につながるような新たな仕掛けを施した店づくりに辿り着く。シャッターが降りたままの空店舗が増え、人通りが少なくなっている商店街に、少しでも活気が取り戻せる一助になり、用事がなくてもふらっと立ち寄りたくなる店づくりを形にした格好だ。何屋さんなんだろう?と思わせる店づくりをしておいて、実はお米屋さんですというのが、大杉商店の狙いでもある。

店内

お客さんがいる限り商いに邁進

「新しい店になってから近所の人やお客さんが、世間話をしに店にふらっと来てくれるようになった」と顔をほころばす。お米の商いは、若い人たちのお米離れや食べる量が減っている上に、スーパーはもちろんのことネットでも気軽に買える時代になり、なかなか厳しい環境にあるが、「一人でも配達して欲しいというお客さんがいる限りは続けていく覚悟です」と力を込める。灯油の販売においても競争相手が多く、こちらも厳しいようだ。それでも先祖がアパート経営をしてくれていたおかげで、毎月安定した家賃収入があるため、心にゆとりを持って商いができることに9代目は感謝している。


2階 店内

2階の座敷を貸しスペースとして活用

リニューアルの際、店舗2階の使っていなかった座敷をきれいに修繕し、昔の職人技による欄間飾りなども残しつつ群青の壁に塗り直し、大杉商店2階「加賀群青の間」と銘打ち、人が集まるスペースとして貸し出している。これまで、ヨガ教室や大人のマナー講座など、様々な集まりに使われており、商店街に少しでも多くの人に来てもらうきっかけづくりにつながっている。今後も知恵を絞りながら活用法を模索していく考えだ。

SNSを活用して情報発信

9代目になってから、最近若者に人気のInstagramを活用して情報発信している。例えば、コシヒカリの新米が入荷したことを、パッケージの画像と共に「加賀地区の中山間地で、有機質肥料を施用し、農薬・化学肥料の使用を通常の半分以下に抑えた特別栽培米です。中山間地は、地形の関係から、昼夜の寒暖差が大きく、良食味地区と言われます。ぜひぜひお試し下さい」との購買意欲を刺激するメッセージを添えて発信している。こうしたことは生まれた時からネット社会で育ってきている世代だけにお手のもの。

 

なかなか埋まらない世代間のギャップ

店内八日市商店街の中で若手が店を継いでいるのは、大杉商店を含めて2軒しかない。しかも、周平さんの上の世代は70歳代のため、商店街で何か企画しようとしても世代間のギャップが大きく、新しいチャレンジについては意見がかみ合わない。「店主が高齢になり、後継者がいないため廃業した空店舗を、安い家賃で若い人に貸し、チャレンジショップ的な店が増えれば、商店街に活気が生まれるからといった提案をしても、家主であるお年寄りからは、何でそんな知らない若い者に安く貸さないといけないと断られ、なかなか前向きの取り組みができないのが現状です」と、もどかしい胸の内を吐露する。

 

 

 

まずは自店の魅力アップから

そうした状況にあることから、まずは自分の店をお客さんにふらっと立ち寄ってもらえる魅力ある店にしていくことを目標に邁進している。今考えているアイデアを伺うと、「大杉商店のイベントカレンダーを制作し、第1日曜日はこんなイベントをします、第2土曜日はこんな企画をしますといった、1ヶ月の自店の取り組みをお客さんに情報発信することを検討中」と意欲的だ。こうした自店の魅力アップに邁進するのと並行して、小松駅前の商店街全体で取り組むイベントや街づくり活動にも積極的に協力している。そこには、「連綿と受け継がれてきた大杉商店の暖簾を引き受けた以上は、かつてのような賑わいと活気にあふれ、お客さんがまた来たくなる魅力ある商店街にしていきたい」との周平さんの熱い思いがある。この情熱を日々の商いの姿勢の中で発信し続けていくことで、頑固な先輩たちが心を開き、若い世代の意見に耳を傾けてくれる日が、一日も早く訪れることを願って止まない。

 

店舗情報

 

外観

店名 大杉商店
住所 小松市八日市町31
TEL (0761)22-0979