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天然の原材料にこだわり 精魂込めた手づくりとうふで勝負ーとうふ 伝好(でんこ)

印刷用ページを表示する更新日:2019年10月9日更新

 

とうふ 伝好(でんこ)

とうふ伝好

国道360号線と157号線の合流点・瀬戸野交差点から500mほど進んだ所に、白山周遊ドライブの玄関口である「道の駅 瀬女(せな)」がある。ここは、地元の特産品を販売する道の駅のほか、3軒の食事処、広々としたドッグランが整備され、週末や行楽シーズンは、駐車場に入りきれない車やオートバイが長蛇の列をなす白山麓の人気スポット。このエリアの中でも、手づくりとうふが評判の「とうふ 伝好」代表の出口浩志さんにお話を伺った。

地元に愛される万屋が原点

出口家は浩志さんの曽祖父の時代から、瀬戸野交差点の真ん中で、昔はどこにでもあった食料品を中心とした万屋を商っていた。浩志さんは四代目にあたり、若い頃は、先代と一緒に毎日車で金沢の中央卸売市場まで生鮮食品を買い出しに行き、周辺にある雑貨店、履物店などに寄って、常連さんから頼まれた買い物もしてくる、地域住民から重宝される存在だった。

やがて、近隣にスキー場ができ、宿泊施設が増え、食料品を扱う先代の店には追い風が吹き、商いも徐々に大きくなったものの、平成に入るとバブルが崩壊し、スキー場を取り巻く環境も多難な時代になり、宿泊施設や飲食店の廃業、ついにはスキー場そのものも経営不振に陥り、このままでは商売の先行きが不安な状況に直面する。

とうふ伝好  とうふ伝好

 

立ち退きを機に、とうふ屋に原点回帰

そんな時期に、交差点周辺の道路が拡幅されることになり、少し奥に入った場所に立ち退くことに。しかも、立ち退き先の土地区画は、宿泊施設を備えた民宿的な施設を作ることが条件に明記されたことから、先代は商いの方向性を熟考せざるを得なくなる。このタイミングで、浩志さんは先代の意向で隣接する宿泊施設に勤めに出る。

一方、先代は、これからも継続して続けられる商いの方向性を模索し、先祖に対する感謝と原点に立ち返ることを考えた時、もともと初代が、とうふや油揚げづくりを生業としていたことから、今一度昔ながらの手づくりのとうふを食べたいという思いがこみ上げ、とうふづくりに取り組むことを決意する。とはいえ、修業できる店もないため、持ち前の感性とセンスで、何度も何度も試行錯誤を繰り返し、できあがったとうふと自らのイメージを重ね合わせ、温度や配合比率、にがりの濃度などを微調整することを繰り返し、究極のとうふを追求し、誰も真似できない先代の手づくりとうふができあがる。

「先代のモノづくりに対する生来のセンスは、とても真似できないポテンシャルの高さだった」と浩志さんは述懐する。

とうふ伝好 とうふ伝好

 

先代の急死で人生の一大転機を迎える

浩志さんがホテル勤めをしている4年余りの間に、先代の手づくりとうふの評判は口コミで広がり、常連客もできるようになっていたが、商いとしてはまだまだ物足りない状況だった。

そんな折り、先代が病に倒れる。店の経営状況を調べてみると、勤め人の給料ではとても返済できない多額の借金があることが分かり、頭が真っ白に。病床の先代にとうふの作り方を聞いても何も教えてくれない。これは自分でゼロからやってみるしかないと一念発起し、暗中模索、無我夢中、自己流で手づくりしたとうふを病床に持って行き食べてもらったところ、「早まって会社を辞めるな、お前にはとうふづくりはできん」と断言していた先代が、「うまいとうふや」とぽつりと呟いた。その言葉を聞いた浩志さんは、「よしやるぞ」と、入院して1ヶ月足らずで他界した先代の意志を継ぐことを決意する。

 

日々精進努力、とうふづくりに没頭

とうふ伝好先代のDNAの半分は受け継いでいることもあり、とうふを作るたびに、毎回毎回追い求めていくものが強くなり、もっと美味しいとうふ、自然のものにこだわったとうふを作るべく、大豆は富山県の契約農家で栽培された大豆、にがりは珠洲の揚げ浜塩田の天然にがり、水は霊峰白山の伏流水を用い、日々精進の連続。「出来上がった時の満足感もさることながら、全身全霊を注ぎ込み、乾坤一擲(けんこんいってき)の作業だけに、終わると全神経と体力を使い果たした抜け殻のような自分がいる」としみじみと語る。

 

道の駅に出店し、商いの新たな可能性が

数年は先代が建てた店舗で商売し、それなりに常連客はできたものの、通りを挟んで向かいにオープンした「道の駅 瀬女」を訪れるフリー客の人数に比べれば、問題にならないほど少なかった。自分の店に来てくれれば食事する場所もあるのだが、道の駅に来ている人にそうした情報は伝わらない上に、自店への来店を促す誘導看板の設置も禁止されているため手立てがなかった。

とうふ伝好道路を挟んだ向かい側にはあんなにたくさんの行楽客がきているのに・・と指をくわえて悔しい思いをする時期がしばらく続いた。なおかつ、先代が急死したことで、先代のように仕事の段取り、作業工程の時間配分など、同時進行で進めていた神業を持ち合わせていない浩志さんにとって、思うようにできないことばかりで、売上の数字も次第に落ち始める。

これ以上落とせないと踏ん張っていたタイミングで、偶然にも道の駅のエリアにある現在の店舗が空店舗になり、行政からそこへの出店を打診される。現店舗も築10年と新しく大変迷ったが、地域振興と商売のためには出るしかないと一大決心する。

 

想定以上の来客数に対応能力の欠如を痛感

いざ、道の駅で新たにオープンしてみると、想定をはるかに超える来客数で、席数が不足して受け入れられないお客さんが店先に溢れることもしばしば。天気のいい週末や行楽シーズンの来客数は半端ではなく、駐車場に入りきれないことが度々あるほど大勢の人たちが食べ物を求めて訪れる。それにもかかわらず、自店はランチの時間帯のみの営業で、なおかつ高級健康志向のメニューと価格設定のため、ファーストフードのように手ごろな価格で食べ歩けるような商品を、朝から夕まで販売する形態が不可欠なことを痛感。折角の商いのチャンスを逃してしまっていることを猛省することしきり。

とうふ伝好これまでも店舗前の窓越しに、豆乳ソフトなどのスイーツのテイクアウト商品は販売しているが、小腹がすいた時に食べたくなる商品、同店に当てはめると堅とうふや油揚げを串に刺して焼き、田舎味噌を塗った味噌田楽のようなものが求められている。ただ、ランチの時間帯の大混雑時に、人手をテイクアウトに回す余裕がないのが現状で、同時並行で対応できるような流れを構築しないことには始まらない。店の前を通る大勢のお客さんをいかに取り込むかが喫緊の課題だ。

 

 

 

 

 

精魂込めたとうふづくりを次代に・・・

手づくりの商品をお客さんが来るまでに準備するとなれば、自ずと早朝から作業を始めなければならない。しかも精魂込めて作り上げるだけに、作業が終わると倒れそうなぐらいぐったりと疲れ切る。そこまで神経を集中する作業だけに、簡単なものではない。

とうふ伝好今は5代目となる長男がシェフとして厨房を仕切っているが、とうふづくりはまだまだ。それでも、ある程度はとうふづくりの工程を見せながら、ポイントを伝え、簡単な作業は任せているという。全く何も教えられず、他界した先代のとうふを独学で引き継いだ浩志さんにすれば、製法以上に、とうふづくりに賭ける職人の魂の部分を長男がいかにして自分のものにできるか、その厳しく孤独な闘いを自力でクリアできるか、心配は尽きない。

 

 

とうふ屋の蕎麦が人気!

看板商品はとうふだが、蕎麦も人気が高い。蕎麦の麺は製麺業者から仕入れているものの、出汁には徹底してこだわり、北海道道南産の昆布、鰹節、鯖節、うるめ鰯、宗田節をブレンドして出汁を取り、水は霊峰白山の伏流水を使っている。蕎麦の上には出汁の旨味を十二分に吸った手づくりの油揚げが鎮座し、他の蕎麦屋には出せない風味の虜となり、病み付きになっている常連さんも多い。

初めてのお客さんが食事を終えてレジに来た際に、「美味しかった」と異口同音に言ってもらえることが、浩志さんにとって、また頑張れるエネルギーの源泉になっている。

リピーターとなった常連客と、行楽で押し寄せる新規のお客さんも加わり、多い日にはランチだけで200組を越すことも。メニューには英語と中国語の表記もあり、昨年あたりからインバウンドの海外からの旅行者も頻繁に訪れるようになった。

 

とうふ業界での天下取りに邁進!

珍しい屋号である「伝好」は、出口家の祖先を辿ると京都に行き着き、初代の出口伝古に由来する。

自分の店を構えるにあたり、女性や子供から好かれる店にしたいとの思いを込め、伝古の「古」の字を、「女」と「子」から成る「好」の文字に置き換える。店名の由来を女性客から尋ねられた際、この説明をすると場が大いに和むとのこと。白山堅とうふと言っても、それぞれの店で製法が異なり、味、香り、堅さ、食感がみんな違うわけだが、常に高みを目指し、もっと美味しい伝好の堅とうふを極めること、そこを目指して今朝も暗いうちから作業が始まっている。

ちなみに、出口家に伝わる家紋は、天下人・豊臣秀吉と同じ五三桐。「とうふ業界に伝好ありと言われるようにこれからも精進していきたい」と熱く語る浩志さんが、とうふ業界で天下を取る日が楽しみである。

 

店舗情報

とうふ伝好

商 号とうふ伝好
代 表出口 浩志
住 所白山市瀬戸寅138-3
TEL076-278-3353
定休日毎週木曜日と第3水曜日
URLhttps://www.denko-tofu.com/