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国産大豆と塩田にがりにこだわった さいはての谷内の美味いおとうふ  (有)エステフーズ谷内

印刷ページ表示 更新日:2020年11月27日更新

(有)エステフーズ谷内

エステフーズ谷内

健康食品として、日本はもとより海外でも注目されている豆腐。輪島市町野町で昭和35年から親子3代にわたり豆腐店『エステフーズ谷内(ヤチ)』を訪ね、昔ながらの製法と原材料にこだわると共に、祖父の時代からの行商の精神を今に受け継ぎ、冷蔵車4台で能登地区を移動販売する谷内孝行社長に商いの心意気を披瀝いただいた。

 

おいたち

祖父の重夫さんが、輪島市町野町寺山で看板のない豆腐店を始めたのが昭和35年のこと。その後を継いだ父・誠孝さんが昭和62年に現在地の町野町粟蔵に工場兼店舗を建て、有限会社エステフーズ谷内を設立。孝行さんは、保育園の頃から父が行商するトラックの助手席に乗っていたそうで、保育園の卒園文集に、『将来の夢は豆腐屋さんになること』と記していたという。
家業を継ぐ前に社会経験を積むことを考えていた中学生の頃、ナホトカの重油流出事故をきっかけに、陸上自衛隊少年工科学校(現 陸上自衛隊高等工科学校)へ進出し、自衛官となった。部隊に配置され、3年の勤務経験を終えた平成19年、22歳の時に帰郷し、家業を継ぐ。

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組織と家業のギャップに困惑

来る日も来る日も、早朝から父に豆腐づくりのイロハを教えてもらい、見よう見まねで体得する日々が始まる。「自衛隊では、組織の仕組み、一人ひとりの役割分担、責任の所在が明確で、指導要領も決められている生活を経験してきたため、体系化されたものが全くない家業に飛び込み、何からやっていいかが分からず、例えば誰からも教えてもらえる反面、それぞれに違うことを言われるため、どれが正しいのか困惑するやりにくさがあった。」と振り返る。
豆腐づくりが分かってくると、こうした方がもっと美味しくなる、この失敗はこれが原因だからここを改善した方がいい等々、いろいろ思うところが出てくるようになり、父と考え方が合わず衝突することが頻繁に発生し始めるが、次第に孝行さんの主張を父が受け入れて折れてくれるように。​

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こだわりの豆腐づくり

工場の周囲に高い山がないことから、井戸を掘っても地下水が出ないため、水は水道水を使うしかないが、この地域の水道は軟水で豆腐づくりに適しているとのこと。大豆は外国産と国産があり、国産大豆は安いものでも外国産の倍以上の価格がする。多くの豆腐店は価格を抑えるため、外国産大豆を使用しているが、同社では味を第一に考え、割高の国産大豆を使用している。「スーパーに並ぶ大手メーカーの豆腐と食べ比べた時に強みがないと、価格では負けてしまうため、品質・美味しさで勝負しています。」ときっぱり。高い濃度で使うことで、風味、旨味、香りを醸し出している。

1日あたり150~180kgの大豆を使うため、年間に換算すると6tあまりの国産大豆を使用していることに。にがりは珠洲の揚げ浜塩田の塩田にがりを使用。高い濃度の海水を煮詰めて出来たにがりには塩が含まれる。
大手メーカーは、このにがりから塩分を完全に除去したものを使っているが、手作りでは完全に分離することができないため、塩分が少し残ったにがりになる。スイカに塩を振ると甘みが引き立つのと同様に、豆腐にも塩が少し入ることで風味が変わり、甘い豆腐ができやすい。
商品に合わせて使い分けをし、出汁の味を引き立たせるとうふや能登名物のちゃわん豆腐には、塩田にがりではなく、さっぱりとした風味に仕上がるすまし粉を使用している。

     

新しい時代の豆腐屋を模索

遡ること6年あまり前、孝行さんが青森県上北郡にある『湧水亭』を視察に行ったところ、観光バスが横付けし、お客さんが両手一杯におからドーナツを買っていく光景を見て、『自分もおからドーナツを作ろう』と刺激を受ける。
さらに湧水亭をインスパイヤーした岩手県八幡平市にある『ふうせつ花』という豆腐と湯葉の有名店では、湧水亭同様におからドーナツが人気商品になっていることを目の当たりにする。この視察がきっかけで、おからドーナツの販売をスタートする。
1個80円、5個入り400円で販売し、移動販売やイベント会場での実演販売で好評とのこと。さらにレアチーズケーキをイメージした新たなデザートの開発にあたっては、ISICOの活性化ファンドの支援を受け、豆乳にココナッツオイルと大豆粉を混ぜた大豆クリームを仕入れて使用することで、新たなデザートが出来上がる。
次に手がけたのは、それまで廃棄していた湯葉の商品化である。本来、湯葉は高級食品というイメージが定着していることから、単価が高くてもいいものを作れば売れると考え、移動販売で販売したところ好評で、旅館や飲食店など一部業務用卸の販路も広がり始めている。

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移動販売が業績を押し上げる

移動販売をスタートした当初は、1日走ってきて6千円程度しか売れなかったそうだが、今では平均でも10倍以上売り上げるまでに。4台の冷蔵車を使っての移動販売での売上と、スーパー等への卸売の売上比率は半々ぐらいと、移動販売の売上がここ3年あまりの間で着実に伸びてきている。輪島市、珠洲市、穴水町、能登町、七尾市を主要な商圏として、卸売と移動販売で販路を広げてきている。
このご時世だけに通販も考えたようだが、消費期限の問題と単価的に高い豆腐でも1つ200円のため、ある程度まとまった量でないと何千円に届かない。それに対し、移動販売なら隣の家、またその隣の家と訪問していくことで、売上が立つことから、梱包や発送、メールのやりとりの手間と労力を考えると、移動販売の効率性に叶わない。さらに、移動販売は1回限りというお客は少なく、ほとんどがリピーター客になるという利点も強みである。

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商品を売るためではなく、いい人材を確保するためのSNS

これまで殆どSNSに取り組んでいなかった孝行さんだが、最近になって積極的に取り組み始めたという。その理由は2つで、1つは自らの考えを発信し認知を高めることで、価値観の近い人材を探し雇用に繋げるため。もう1つは、自社の豆腐がどんなふうに作られているかをSNSで発信することで、自分たちの豆腐づくりへのこだわりを正確に伝え、安心感を高めてもらうためだ。
 

エステフーズ谷内 エステフーズ谷内

 

金沢は可能性と魅力を感じる大きな商圏

これからの商いを考えた時、金沢の商圏はかなり魅力的。奥能登の総人口の8~9倍近い商圏が金沢市を中心に広がっているだけでなく、今はコロナ禍で激減しているが、通常であれば観光客で賑わう観光地でもある。
金沢市内を移動販売車で回れるようになれば、商いの可能性がさらに広がるだけでなく、消費単価も上がることが期待できる。「七尾市内を移動販売している担当者が七尾市内のお客さんの反応がいいことから、是非金沢を回ってみたいと意欲を覗かせている。」と笑顔に。「スーパーで売っている安い豆腐を買うよりも、少し高くてもこだわって作っている美味しい豆腐が食べられて嬉しい」と七尾のお客さんから好評で、お客さんがお客さんを紹介してくれ、ファン客が増えていることに自信を感じている。
1軒あたりの消費単価も高く、中には1回の買い物で1万円近く購入してくれるところも。七尾市内で予想以上に高評価を得ていることから、この勢いで金沢に進出することが目下の目標。

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まずは人材育成から

現在は、孝行さんが全ての作業に目配りしていることから、まずは工場を任せられる人材を育成することが喫緊の課題。
同時並行で金沢のお客さんの反応を確かめるため、試験的に移動販売車を走らせてみて、人が育った段階で、本格的に金沢に拠点を設け、金沢の市場にチャレンジする、そんなステップを踏みながら、着実に高みに登っていくことが3代目の胸の内。
観光客が戻ってくれば、観光地での揚げたてドーナツの移動販売も面白みがありそうだ。これから迎える冬は水温が極めて低く、水を使う手作業はなかなかに厳しいものがある。週2回の工場休業日以外は、毎日午前1時頃から豆腐の仕込み作業を始めている孝行さん。看板のない豆腐店からスタートし、2代目である父が、健康を前面に打ち出し、美しさと食べ物のフーズを合わせエステフーズ谷内の基盤を確立し、いま3代目が新たな時代の『さいはての谷内のとうふ』をキャッチフレーズに掲げ、金沢の商圏を視野に、大きく飛躍しようとしている。

店舗情報

エステフーズ谷内

 
社名 (有)エステフーズ谷内
代表 代表取締役 谷内 孝行 
住所 輪島市町野町粟蔵169
TEL 0768-32-0251
URL https://estefoods.jimdofree.com