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昔は、床屋、散髪と言っていたものが、今はバーバー、カットハウス、サロン等に名称が変わり、散髪ではなくカットと表現も変わり、店構えも個性的で明るいイメージに進化した。店名も今風に!そんな若い世代に人気の数あるバーバーの中で、白山市内で人気の高いバーバージェントルを訪ね、オーナーの丹保祐一さんにお話を伺った。
祖父の時代から、JR松任駅近くで代々理髪店を営む家に生まれた丹保祐一さん。物心ついた頃から近所の人たちが散髪に訪れる店で育ち、自然な流れで自らも石川県理容美容専門学校を卒業後、金沢市内の美容院に1年、理髪店に移り6年余り修業を積む。修業した理髪店が男性専門的なスタイルの店だったこともあり、自らも男性専門のバーバーを開業することを決意した。幸いにも、松任駅の裏手に祖父の土地があったことから、そこに自らの店舗兼住宅を建設し、男性専門の理髪店「バーバージェントル」を平成28年にオープンした。当初は一人でやってくつもりで、椅子2席の小さな店舗でスタートしたが、次第に固定客が増えてきたことから、5年前に松尾元太さんをスタッフとして採用すると共にカットスペースを増築し、現在の店舗に。さらに昨年11月には、専門学校時代の同級生で、東京の理髪店で働いていた城宝敬太さんを誘い、現在の3人体制となった。
インターネットも携帯もなかった昭和の時代には、親の行っている床屋に子供の頃から行き、ほとんどの人が生涯を通じて同じ店に通うのが、当たり前だった。しかも、散髪の予約をするという発想もなかったが、平成以降、インターネットが普及し、誰もが携帯を持つ時代となった今は、どこの理髪店へ行こうか、美容院に行こうかと思った時に、ホットペッパービューティーのサイトに行き、自分の行きたい地域を検索すると、周辺の店舗がリストアップされる。そのリスト中の任意の店をクリックすると、店の画像やオーナーの写真、サービスメニューならびに価格を見ることができ、気に入れば自分が行きたい日時で来店予約まで完了するため、新規来店するお客さんの多くが、このサービスを利用して来店するとのこと。
同店には丹保さんを含めて3人のスタッフがいるが、来店したお客さんを3人がローテーションしながら接客する形ではなく、一人の顧客に対して一人の専属スタッフが付き、カット、シェービング、シャンプー、整髪の一連のサービスを専任のスタッフが一貫して行う。そのため、次回からは最初に担当したスタッフが、そのお客様の専任スタッフとして対応し、スタッフにとっても自分のお客様という形でやり甲斐にもつながる。初来店者の7割がリピーター客になってもらえるように、同店の雰囲気やサービス・接客を通じてスタッフ一同日々邁進している。
顧客層は20代後半から40代が中心で、50代以上のお客様も。日々の接客の中で、若いお客様にひげ脱毛を施している人が多く、世間的にもひげ脱毛のブームが到来していることに着目し、自店でもひげ脱毛を施術できれば、新しい収益源になる可能性を感じたことを切っ掛けに、ひげ脱毛に使用する機器の使い方の研修を受けてDIPLOMAを取得。ひげ脱毛をメニューに加えてから、7~8人に1人ぐらいの割合で施術を希望する来店客がいる人気のサービスメニューとなった。カットだけでなく、ひげ脱毛をセットでオーダーする顧客も増え、想定した通り売上増にも貢献している。男性専用のエステサロンにわざわざ行くのは抵抗がある人でも、カットしたついでにひげ脱毛ができると好評のよう。ひげ脱毛は施術に15分、施術部位を冷やすのに15分の正味30分で5500円と、所要時間・価格ともに手頃なのも人気の秘密。若い人だけでなく、40代、50代の営業マンが毎日の髭剃りがなくなって楽だと施術する人もいる。オープン時から行っている育毛ヘッドスパも40代以上の顧客に人気が高いメニューの1つだ。
このところ、海外のサッカー選手がやり始めた髪の毛を刈り上げるスキンフェードという髪型の人気が高く、特殊なシェーバーを使うため、美容室ではできるところがなく、この髪型がはやり始めたことで、これまで美容室に流れていた男性客が理容室に戻り始めている。そのおかげでバーバーブームが到来しているそう。と同時に、最近の若い人は女性に負けないぐらい美容意識が高く、肌をきれいにすることに関心が高いことから、そうしたフェースマッサージなどの美容分野も今後の付加価値サービスとして可能性を感じている。
当初は30代をメインターゲットに想定していたが、ホットペッパービューティーの予約サイトを採用して以降、20代の若い世代が想定していた以上に増えてきた。20代、30代、40代以上が混在する状況が顕著になってきたことから、メインターゲット層がぼやけてきていると感じるようになり、思い切って20代の若者をメインターゲットに設定した新店を出すことを決断する。白山商工会議所のある白山市西新町に姉妹店「RALLY HAIR DESIGN」を2023年2月1日にオープンする。現在のバーバージェントルは30代・40代をメインに、新店は20代をメインターゲットにカット関連サービスを提供する。2015年のオープンから7年足らずで、顧客ターゲット層を明確に分けた店舗を構える必要性を感じるまで固定客が増えた証左でもある。新店舗では女性客の受け入れもして、顧客層の幅を広げていく考えだ。
オープンから7年で、700名を超す固定客を掴むことができたバーバージェントル。固定客を大切にしながら、さらに新しい顧客層を開拓し、時流に合った商いで業績アップを目指す。あくまでも地元のお客さんを大切にし、地元の人たちに愛される店づくりが目標。専門学校を出て美容師になる人は沢山いるのに対して、理容師になる人は年間10人にも満たないのが現状。そのため、ホームページはもちろんのこと、フェースブックやSNSなど若者に必須のツールを活用し、理容師の魅力、バーバーの魅力を発信し、理容師を目指す若い人たちが増える一助につながればとの思いも強い。バーバーは、決めた店に通い始めると、生涯にわたって長いお付き合いになるケースが多い。オープン当初に中学生だったお客さんが社会人になり、そのうち結婚して子供ができると子供を連れて来るようになり、お客様と人生を共に歩むような長いお付き合いを大切に、邁進する丹保さん。長男が通い始めたサッカーチームのスポンサーを務めるなど、地域貢献にも余念がない。
松尾さん、丹保さん、城宝さん(左から)
店名 | バーバージェントル |
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代表 | 丹保 祐一 |
住所 | 白山市相木町933-1 |
電話 | 076-205-4743 |
URL | barbergentle.com |