ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 店ナビいしかわ > 湯涌の里山にひっそりと佇む時の流れが緩やかになる癒しのカフェ  ハンモックカフェ とある丘

本文

湯涌の里山にひっそりと佇む時の流れが緩やかになる癒しのカフェ  ハンモックカフェ とある丘

印刷ページ表示 更新日:2023年1月10日更新

ハンモックカフェ とある丘

湯涌の里山にひっそりと佇む時の流れが緩やかになる癒しのカフェ ハンモックカフェ とある丘

金沢市内から湯涌温泉に向かう湯涌街道(県道10号)の金沢湯涌創作の森の手前を右方向に曲がり木々が生い茂るカーブを曲がりきると、視界が一気にひらけ、長閑な田園風景が広がる。川に架かる橋の先に目をやると、西定寺の向かい側の高台に洒落たカフェ風の建物が。知る人ぞ知る人気の「ハンモックカフェ とある丘」である。オーナーの北幹夫さんにお話を伺った。

 

湯涌に生まれ育ち、湯涌を愛し、湯涌の活性化に邁進

金沢市消防局の職員として定年まで勤めた北さん。遡ること10年あまり前の公務員時代から、湯涌の街づくりや活性化に向けたプロジェクト活動やイベント開催などに積極的に参画してきた。石川県の地域づくり円陣にも参加し、湯涌地区での起業支援や移住者の受け入れに尽力し、十数組が移住し、空き家はほぼ解消されたという。そんな活動を始めて5年あまり経過した頃、定年後に何かやりたいと思うように。たまたま20年余り前、自宅近くの住人が引っ越して空き家になっていた古民家(現店舗)を子供たちの家にしようと購入していた。とはいえ、空き家のまま所有していても老朽化が進むばかり。そんなことから一旦不動産屋に依頼して売りに出すことに。その不動産屋が空き家を売るキャッチコピーとして、とある丘と名付けた。しばらく売りに出したものの、引き合いがなく、これを売ってしまうと、定年後に何かしたくても場所がなくなるか……と思い直す。

ハンモックカフェ とある丘 ハンモックカフェ とある丘の外観

 

親子三人で新たなスタート

賃貸でという話もあったそうだが、壁は土壁で崩れていた隙間から虫が入ってくる、下水につながっていない等々の難題があり、中途半端な状態では貸すこともできない現実に直面する。こうした問題を解決するにはどれぐらいのコストがかかるか、地元の設計士に相談したところ、新築を建てるのと同程度のお金をかけて本格的にリノベーションするしかないことが分かる。そんなタイミングで、飲食店で修業していた長男から一緒に手伝う旨の心強い言葉が後押しとなり、古民家の大規模リノベーションを決意。定年後に夫婦でカフェをと思っていたところへ、長男も手伝ってくれることになり、親としてこれ以上の喜びはなかった。飲食店で修業してきた長男が食事を担当し、夫婦でコーヒー・スイーツの提供と接客を担当する形で、新規事業をスタートする運びに。

 ハンモックカフェ とある丘の店内の様子 ハンモックカフェ とある丘の店内 

 

店のコンセプトはハンモックカフェ!?

地域のイベントで子供たちを連れて度々キャンプをしていたことから、野外で使うハンモックは馴染みがあり、東京・吉祥寺にハンモックカフェがあることを知る。早速、店舗を視察したところ、ハンモックにもさまざまな種類があることが分かった。キャンプで使う寝るタイプだけでなく、座って楽しむハンモックがあることを知り、見本として1つハンモックを買って帰る。自ら使ってみたところ思っていた以上に揺れが心地よく、のんびりとリラックスでき、気持ち良かった。そんなことから、ハンモックに揺られながら里山の風景を眺めてコーヒーを飲めるカフェがコンセプトに。

店内の様子 店内にハンモックがつるされている

 

ハンモックカフェ「とある丘」

家族で新たにスタートするための城を、地元の設計士と相談しながら、自らの思いも十二分に反映させた古民家のリノベーションが完了し、1階は食事スペース、2階はハンモックに揺られ、コーヒーを飲みながら田園風景に癒されるハンモックカフェとして2019年7月にオープン。店名については、十数年前にこの建物を売りに出していた時のキャッチコピー「とある丘」がいたく気に入っていた北さんは、不動産屋に掛け合い、この名前となった。

店内の階段 とある丘の店内 階段を上ると2階へ

 

オムライスとパスタが看板

シェフである長男が作るオムライスとパスタが店の看板商品。デザートは人気のバスクチーズケーキをメインに、季節の地元野菜を素材に使った旬のデザートを提供している。自家栽培のゆずを使ったデザートも好評のよう。一番人気は8割のお客さんが注文する、食事とデザートとコーヒーがセットになった「とある丘セット 1900円」。パスタは季節の野菜や食材が中心で、北さん曰く「シェフはなかなかの味覚のセンスを持っており、この3年余りで手前味噌ではありますが、金沢でピカ一のパスタとオムライスに仕上がってきています。」と顔をほころばす。

人気のオムライス 人気のパスタ シェフの長男が作るパスタ

 

コロナ禍で休業続き

オープン当初に地元のテレビ番組や雑誌で紹介されたことで連日お客さんが殺到し、一躍湯涌地区の人気スポットに。そんな忙しさでオープンから半年あまり過ぎた頃に、新型コロナウイルス感染症が世界中にまん延し、同店も緊急事態宣言やまん延防止重点措置が出された時期は、1カ月あまり休業を余儀なくされる。その後は感染対策を徹底しながら、受け入れ人数を抑えながら営業し、最近は少しずつお客さんが戻ってきている。コロナ禍になって、売上は激減した一方で、飲食業を支援する補助金を活用し、業務の効率化を図ることができ、感謝する。

人気のバスクチーズケーキ ドリンク デザート

 

湯涌温泉がすぐそばにあるものの・・

口コミやインスタグラムを事前に見て来店するお客さんがほとんどで、湯涌温泉に宿泊した人たちが帰り道に立ち寄るケースはあまりないそうだ。先述したとおり、湯涌温泉からの帰り道、湯涌街道から大きく左に曲がった先にあるお店のため、車を走らせていると曲がり角に小さな案内看板があるとはいえ、誰もが気づく大きさではないため、予備知識がないと通過してしまう。そんなこともあって、湯涌温泉の三館の日帰り入浴と、とある丘のコーヒー・スイーツをセットにした「湯涌三温泉巡りセット」が新たなメニューに追加された。 

とある丘 カフェメニュー ハンモックカフェ とある丘 とある丘の外

 

とある丘を会場にした催事も

常連客の独唱会、中国琵琶のプロ奏者の演奏会をキャンドルナイトにて開催する場を提供する試みも。今後もそうしたミニコンサートや地元作家の作品展、商品展示会など、リクエストがあれば可能な範囲で対応していく考えだ。いずれも湯涌のこの地へ足を運んでもらい、湯涌の活性化、賑わい創出につながることを第一義に考える。さらに、湯涌の自然に親しんでもらうイベントとして、令和5年2月2日には、山カフェ(カフェひよこ豆、カフェレンテ、カフェとある丘)合同企画による「雪の湯涌 スノーシューハイク」を小学生以上対象にて開催予定。

中国琵琶のプロ奏者の演奏 雪の湯涌 スノーシューハイク 店内から見える景色

 

四季のうつろい、里山の自然、心あたたまる料理ともてなし

冬の間は、1階に鎮座する大きな薪ストーブが大活躍。ぽかぽかとした温かさ、赤い炎が生みだすゆらぎのほのぼの感が、とある丘の魅力を倍増させてくれる。何よりも1階、2階の大きなガラス窓越しに眺める湯涌の里山の風景は、視界を邪魔するコンクリートの建造物が一切なく、金沢市内でも貴重な田園風景を堪能することがき、何もないことが、今のご時世では最高の贅沢であり、財産であることをしみじみと感じさせてくれる。それがとある丘の魅力に他ならない。長年にわたってこの地域に住む人たちが、里山のあるがままの自然に過剰に手を加えることなく残してきている自然と、日々の人間の営みのあるべき姿を目の当たりにする思いである。​ 

店内にある薪ストーブ 店内の2階から見える外の様子 代表 北幹夫さん
                               北 幹夫さん

 

会社概要

店名 ハンモックカフェ とある丘
代表 北 幹夫
住所 金沢市下谷町チ97番
電話 090-2035-9119
定休日 木・金曜日