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誰もが我が家へ帰ったような気持ちになれるアットホームなおもてなしで60有余年 (株)番飛

印刷ページ表示 更新日:2023年12月12日更新

  

株式会社 番飛

誰もが我が家へ帰ったような気持ちになれるアットホームなおもてなしで60有余年 (株)番飛

遡ること30年あまり前、金沢駅周辺再開発事業で、駅東口に大型ホテルがオープンした頃から、駅周辺にマンションが建ち始め、2015年の北陸新幹線金沢開業を契機に、観光客をターゲットとしたホテルが林立。それまで片町に集積していた飲食店や料飲店が駅周辺に出店するようになり、駅東口周辺は目まぐるしい変化を遂げてきている。そんな環境下にあって、創業から60年以上、地元の常連客はもとより転勤族にも、変わることなく愛され続けている喫茶店が、本町の三和商店街にある「番飛」である。代表の吉田美智子さん、娘の佳世さんにお話を伺った。

 

喫茶店「番飛」の誕生

昭和35年、現代表・吉田美智子さんの両親が、現在地で喫茶店「バンビ」を創業したのが同社のはじまり。その頃は金沢駅もごくごくありふれた田舎の駅舎で、駅周辺に大きな建物もなく、昔ながらの長屋や、今では地元を代表する有名企業に成長し、郊外へ新社屋や新工場を建て転出していった創業者世代の企業が、本町界隈に数多く集積していた。さらにJRがまだ国鉄の時代で、金沢駅に車両基地もあったことから、周辺の会社や工場で働く人たちでランチタイムはごった返し、夜になると、喫茶店からスナックに衣替えし、宴席の二次会の場として繁盛する。美智子さんは20歳頃から店を手伝い始め、二人の娘さんの子育てをしながら両親をサポートしてきた。店名は子鹿のバンビから取り、当初はカタカナのバンビだったが、いつどんな理由だったかは定かでないが、漢字の「番飛」に変わったという。

番飛のお店の外観 番飛のお店のマーク

 

番飛グループのあゆみ

開店して10年程経ったタイミングで、隣の家を買うことができ、美智子さんの母がそこを改装してスタンドバー「越路」を始める。10年余り経過したタイミングで、2軒の間の壁を取り払って現在の店舗の形になったのが昭和56年のこと。その改装によって収容人数が増え、売上アップにも貢献。番飛のランチメニューは、定食、どんぶり、麺類、単品など豊富なメニューがあるが、一番人気はカツカレー950円(税込)、かつ丼850円(税込)、日替わりランチは850円(税込)で、中でも豚の生姜焼きの日は即完売の人気とか。

一番人気のカツカレー かつ丼 日替わりランチ
​昭和45年、駅前通りにあったガソリンスタンド(現在は駐車場)の横に、数坪ほどの小さな空き店舗があったのを美智子さんの父親が借り受け、ラーメン店を始める。その頃は路上駐車していても問題なく、深夜3時頃まで営業し繁盛する。遡ること20年余り前、そこから番飛の店の並びにできた空店舗に移転して再スタートしたのが、番飛グループのラーメン「中華そば処 万味」。
ラーメン750円~。現在は職人を雇って営業している。
番飛グループのラーメン「中華そば処 万味」 「中華そば処 万味」のラーメン 「中華そば処 万味」の外観
​最近になって、縁あって番飛の裏の土地を購入できたことから、昔中国人から無農薬のお米に水を入れ、塩が一切入っていないにもかかわらず、塩味も甘みも感じるおかゆの炊き方を教えてもらっていた知人の長野氏と美智子さんのご主人が共同経営する形で、無化学肥料・無農薬のお米、無化学肥料・無農薬の野菜を使い、秘伝のレシピで、からだにやさしいお粥を提供する「本町ストラット」を新たに始める。口コミで評判が広がり、とりわけ週末は賑わいを見せている。昭和の時代から老若男女に愛されている麻雀スペース「雀フレンド番飛」も当店の人気スペース!
からだにやさしいお粥 からだにやさしいお粥を提供する「本町ストラット」 麻雀スペース「雀フレンド番飛」

 

コロナ禍で補助金を活用し、レンタルスペースを運営

コロナ禍以前から、2階の畳の広間を絵手紙教室などに時間貸ししていたが、どうしても畳に正座は、お年寄りはもちろんのこと、若い人でも敬遠しがちな時代のため、テーブルとイスの必要性を感じていた。そんな矢先にコロナ禍になり、人が集まることは一切できなくなり、そのままになっていた。コロナ禍は飲食業にとっては大打撃で、営業を休止せざるを得ない日々が長く続いた。そんな状況下で、県の補助金を活用し、テーブルとイスを揃えてレンタルスペースとして本格的にスタートできる準備を整える。コロナ禍が明けてからこれまでに、絵手紙教室やヨガ教室に利用されている。お昼の営業時間中はグループ客が食事する場所として、夜は二次会の場として団体利用もされている。
・レンタルスペース
2階  1時間 1500円 16名まで着席可能
中2階 1時間  500円  8名まで着席可能

レンタルスペース レンタルスペース

 

休業続きのコロナ禍もスタッフに給料を払い、再開に備える

コロナ禍になるまではすごく忙しい日々が続いていたが、コロナ禍になった年の3月半ば頃から、同窓会や歓送迎会の予約が全てキャンセルになり、緊急事態宣言が出て何か月も休業せざるを得なくなる。昼だけしばらく開けてみたが、スタッフも感染を怖がったため閉めることに。まん延防止の期間が明けると店を再開したものの、開けているだけで来店客はほぼゼロ状態で、番飛グループ全体で8名のスタッフの人たちに辞めてもらうしかない状況に直面する。「大変厳しい状況でしたが、一旦辞められると、店を再開する時に来てもらえる保証がなくなることから、国や県からの補助金を活用して給料を払い続けることができたおかげで、スタッフ全員が戻ってきてくれスムーズに再開でき、コロナ禍を何とか切り抜けることができました。行政の補助がなかったら店を再開できなかったと思うと、本当にありがたかった」と佳世さんは振り返る。「スタッフの人件費もさることながら、借りている駐車場代、カラオケ機器や業務用冷蔵庫のリース料など、毎月定額で出ていくお金もあるから大変だった。」と美智子さんは付言する。

   

 

飲食店や商店街の仲間が60周年を祝う

コロナ禍2年目の年は、番飛の創業60周年の年にあたった。コロナ禍でほとんど営業しておらず、お客さんも来ない状況の中、駅前の飲食店のグループと三和商店街の人たちが協力して、店前に飾り付けを施して、盛大に60周年を祝ってくれたそうだ。事前に知らされていなかった美智子さん母娘は、「外出先から帰ってきたら店の前がお祭りのような賑やかな飾り付けになっていて、皆さんからたくさんお祝いも頂戴し、感謝感激でした。」と振り返る。コロナ禍という想定外の異常事態が続いていた中で、家族で頑張ってやってきて良かったと実感した瞬間に違いない。

  感謝

 

新幹線効果で売上アップ

北陸新幹線金沢開業で、それまで片町界隈に集中していた飲食店や料飲店が駅周辺に続々と集まってきたおかげで、同店にとってもプラスの相乗効果が表れている。北陸新幹線開業前までは、飲み会と言えば片町方面へ行くのが普通だったが、今は駅周辺に沢山の飲食店や料飲店が集積していることから、駅周辺での飲み会が増え、居酒屋や料理屋で食事した後の二次会需要が、番飛の商いにもプラスに働いている。コロナ禍が明けてからは、近隣の居酒屋やホテルからの紹介が増えており、二次会のグループ客で賑わっている。カラオケも歌え、テーブルチャージ制の明朗会計で人気。夜の営業ではいわゆるスナック的な積極的な接客はしていないとのこと。美智子さんの母親の時代は、お酒を出し、突き出しや料理を出し、その都度1品いくらと計算していたが、今はセット料金制で、座ったら飲み代とチャージ料がセットになっている。「スナックは、昔のような曖昧なやり方ではなく、明朗会計に変更したぐらいで、あとは昔とそんなに変わっていないそうだ。セット料金3300円(ボトルキープの方)、チャージ料金2200円(突き出し、チャーム、カラオケ歌い放題)、4人以上は飲み放題プランあり商売繁盛の秘訣を伺うと、「繁盛しているとは思ってないけど、私は人が好きというのが一番かなぁ・・。」と美智子さんは顔を綻ばす。

   

 

家族が力を合わせアットホーム経営で次代へ

駅前の景色が一変し、世界に名だたる鼓門のある駅舎になり、ホテルやマンションが林立し、番飛の店前に立って見上げる風景も激変したものの、美智子さん夫婦を中心とした家族経営の番飛の商いは、これから70周年、100周年と変わることなく、常連客を「おかえりなさい」と温かく迎えているに違いない。飲食業にとって本当に長く、辛かったコロナ禍のトンネルからようやく抜け出し、以前よりも忙しい日々を送る吉田ファミリーのアットホームな経営で、70年そして100年とこの場所になくてはならない店「番飛」を守り、育てていってもらうことを願ってやまない。

美智子さん夫妻 佳世さん  
   美智子さん夫妻 佳世さん

 

会社概要

社名 株式会社 番飛
創業 昭和35年9月
住所 金沢市本町2-6-25
代表者 代表取締役 吉田美智子
電話 076-261-4566
URL https://bannbi.jp/