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根強いファン客に支えられて創業101年 北陸三県で唯一の米国シューズブランド「ハッシュパピー」の取扱店として邁進 (株)田矢

印刷ページ表示 更新日:2025年1月14日更新

  

 株式会社 田矢

根強いファン客に支えられて創業101年 北陸三県で唯一の米国シューズブランド「ハッシュパピー」の取扱店として邁進 (株)田矢

人それぞれ、十人十色と言われるように、一人ひとり好きな食べ物が異なるように、趣味やファッションへのこだわりも異なる。ファッションの世界では、オシャレは足元からと言われるように、こだわりのある人は靴にこだわる。北陸三県で唯一のハッシュパピースペシャリティーストア(HPSS)金沢店として、金沢市石引商店街に店舗を構える(株)田矢の田矢誠一郎社長にお話を伺った。

 

大正時代に創業し、三代続く商い

大正12年(1937年)に田矢社長の祖父が、現在の金沢大学医学部付属病院前交差点のあたりにて、下駄屋を開店したのが(株)田矢の商いの始まりである。金沢市内に市電が走るようになり、石引の通りが拡幅され、錦町方向へ道路も延伸するタイミングで、同店は現在の場所に移転。時は流れ、生活様式が洋風化すると共に、下駄を履いていた人たちが靴を履くようになり、同店も時代の変化に対応すべく、昭和40年代に下駄屋から靴店に衣替えする。石引商店街は、金沢大学医学部付属病院を核として、地域住民はもちろんのこと、病院に通院する患者を顧客とする商店が増え、賑わいが生まれる。

金沢市石引商店街

 

看板商品「ハッシュパピー」

遡ること30年余り前に、ハッシュパピーのメーカーから、金沢における特約店として契約する話がもたらされる。当時の日本には、まだアメリカンカジュアルの先駆け的なデザインのトラディショナルなシューズが少なかったこと、自身もこのブランドの商品が好きだったことから二つ返事で引き受ける。石引商店街の本店だけでなく、柿木畠にも自前のショップを構えた。当時は、富山にも福井にもハッシュパピーのショップがあったが、リーマンショックで景気が落ち込み、富山と福井のショップが無くなる。令和6年4月には、柿木畠のハッシュパピースペシャリティーストアを石引本店に移し、リニューアルオープンする。現在は石引商店街にある本店が、北陸三県で唯一のハッシュパピースペシャリティーストアで、愛好家にとっては貴重なショップとして富山や福井からも得意客が足を運んできている。

靴    

 

シューアドバイザーならではの接客

田矢氏は早くにシューアドバイザーの資格を取得。靴ならびに足に関する知識を有する専門家だけに、お客さんが店に入ってくると、真っ先に足元に目が行く。初めての顧客の場合は、裸足になって足型を取り、サイズを測りながら、日常の生活スタイルや仕事内容について話を聞きながら、その人に相応しい靴ならびに中敷きについてアドバイスし、歩く姿勢や歩き方まで、きめ細かくアドバイスしている。

店内の様子

 

商店街のキャラクター「びっきー」誕生

田矢氏が商店街の理事長を務めている石引商店街では、商店街活性化に向けて、多くの取り組みがなされているその1つとして、地域住民やお客様から親しまれるオリジナルのキャラクターを作ろうという気運が醸成され、マスコミを介してキャラクター名を募集したところ、県内外から沢山の応募があり、その中から石引の地名に由来する「びっきー」が選ばれる。その後、金沢美術工芸大学の学生の協力を得て、石引商店街のキャラクター「びっきー」の九谷焼のオブジェが完成し、以来、石引商店街の各店舗の店頭で日々来客を迎えている。

石引商店街のキャラクター「びっきー」の九谷焼のオブジェ  

 

毎年、定期的にイベントを開催

石引商店街では、夏祭り、びっきー市、歳末セールを毎年開催している。同商店街には地元の酒蔵「福光屋」があることから、同社の協力のもと、酒蔵コンサートや利き酒会、酒蔵寄席など会場を提供してもらえることに感謝する。「商店街のイベントをやったからと言って、各店舗の売上が増えるわけではないものの、日頃の御贔屓(ごひいき)に対する感謝の気持ちで組合員を挙げて開催しています。」と力を込める。近年は若い組合員が増えたことから、組合がお金を出して若い人たちにイベント内容について一任しているとのこと。こうした変化は、金沢市内の商店街でも珍しいのではないだろうか。

ポスター 夏祭り 
   

 

令和に入り、若者の出店が増え、街に活気が

石引商店街もご多聞に漏れず、平成に入ってから店主の高齢化、後継者難、大型店の影響を受けての売上減少など取り巻く環境が厳しくなり、シャッターを降ろした空き店舗が目につき始めていた。ところが、令和に入ってから、金沢市の支援制度が後押しとなって、若い人が経営する飲食店が次々と石引商店街にオープンするようになり、かつては石引商店街振興組合に加盟する店が40店舗を切っていたが、今は50店舗まで増えてきている上に、飲食店は誘客力がある業種だけに、街に賑わいが復活してきている。

石引商店街MAP

 

金沢美大生とのコラボにも力

石引商店街からそう遠くない場所に金沢美術工芸大学があることから、これまでもいろんな取り組みをコラボしてきている。商店街の一角に、美大生の作品を常設展示するスペース「アートベース石引」を設け、学生の作品を市民に鑑賞してもらうとともに、新たな交流が生まれるきっかけづくりに役立てている。商店街のキャラクターである「びっきー」もその成果であり、今後もさまざまな場面でのコラボを期待している田矢氏である。

靴 靴がずらりと並ぶ

 

各商店も商店街も課題は後継者難

田矢氏は石引商店街の理事長を務めていることから、若い人たちが新規に出店してくれ、商店街に賑わいが戻り、活性化するのは嬉しい反面、昔から商売している組合員の大部分が、後継者がいないことが課題。これから先を考えた時、どうしたものかという不安が膨らみ始めている。自分の子供が継いでくれるのがベストではあるが、それが儘(まま)ならないのが現実で、第三者でやってくれる人を探すのか、自分の代で店じまいするのか、決断せざるを得ないタイミングが迫ってきている。(株)田矢も現時点では後継ぎ予定者はいないとのこと。誰もが知るブランド「ハッシュパピー」の北陸三県で唯一のスペシャリティーストア金沢店という貴重な存在であるだけに、僥倖(ぎょうこう)が訪れることを願うばかりである。

店内には靴とカバンが並んでいる 靴が並んでいる                            

 

さらなる顧客の利便性向上に向けて

「田矢」の店舗前がバス停であることから、常連客にとってはとても利便性のいい場所にある。しかも小回りの利くまちのり菊川ルートのフラットバスが、菊川方面から小立野に上がってきて、店の前で停まり、大学病院を経由している。このバスルートを、できれば金沢美術工芸大学と石川県立図書館を経由する形に延伸されると、更なる相乗効果が期待できるだけに、引き続き関係機関に対して要望していきたい考えだ。「若い人たちの新しい発想と活力を、商店街活動に反映させ、既存の店舗も若い人たちと共に頑張って、益々石引商店街を元気のある街にしていきたい。」と決意を新たに笑顔で語る田矢氏である。

(株)田矢の店舗外観 田矢誠一郎氏
​                            田矢 誠一郎氏                          

 

会社概要

商 号 株式会社 田矢
代 表 代表取締役 田矢 誠一郎
住 所 金沢市石引2丁目7番7号
電 話 076-231-5797