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【事例紹介】おからの2次利用促進へ、余剰熱を使った乾燥機を開発 ~(有)美川タンパク

印刷用ページを表示する更新日:2022年4月5日更新

社会課題にこそビジネスチャンス SDGsを経営に生かし企業の成長を

「SDGs」(持続可能な開発目標)は格差や貧困、気候変動をはじめ、人々の生産や消費のあり方に至るまで、世界中の人々が社会課題を共有し、解決していくために国連が提唱した国際目標だ。SDGsへの関心、意識が世界的に高まる中、新たなビジネスチャンスの獲得や地域社会への貢献につながることから、県内企業でもさまざまな課題解決に向けた動きが加速している。社会のニーズに応え、長期的な成長を目指して企業活動を展開する県内2社にスポットを当てた​。

原料を選び抜き、おいしく安全な豆腐作り

美川タンパクの豆腐などの商品の写真。おいしくて健康に良いものを追求し、源泉した素材で作っている。 美川タンパクは今年で創業130周年を迎える老舗の豆腐メーカーだ。原料となる大豆は全て国内産で、自社で設けた基準をクリアしたものだけを使っている。豆腐は能登産の天然にがりと白山の良質な伏流水を使用。厚揚げは遺伝子組み替えのない菜の花を伝統的な圧搾製法で精製した菜種油で揚げるなど、おいしさはもちろん、食の安全に気を遣う人も安心して食べられる商品作りが真骨頂だ。鮮度を何より大切にするため、毎日、深夜2時から作り始めた豆腐をその日の朝に出荷している。
 同社の宮竹栄治社長は「ひいじいちゃんの代から続けてきた家業を次の世代に渡すためにも、恥ずかしい仕事はしたくない。これからも責任を持って、おいしくて安全な豆腐作りに励んでいきたい」と話す。

傷みやすさがネックに廃棄コストが経営を圧迫

 とことん誠実に豆腐作りに向き合う宮竹社長が長年、頭を悩ませていたのが、豆乳を絞った後に出るおからの廃棄問題だった。昭和50年代の前半までは、おからは食用のほか、酪農の飼料用として有償で販売していた。しかし、トウモロコシや大麦などの配合飼料へと転換が進んだほか、酪農家の減少によって、おからの需要が激減。多くの豆腐メーカーではやむを得ず、おからの大半を産業廃棄物として処分するようになっていった。同社でも食用に回せるのは10%程度だが、宮竹社長は捨ててしまうのはしのびないと、肥料として近隣の農家に配付してきた。
 多くの豆腐メーカーでおからの2次利用が進まないのは、おからには栄養成分や水分が豊富に含まれ、傷みやすいためである。そのため同社では肥料にする際、保存期間を伸ばし、付加価値を付ける工夫として、おからにEM菌(有用微生物群)を添加して発酵させていた。
近隣の農家に納められた半乾燥のおからの写真。 また、産業廃棄物として処分するにはお金がかかる。豆腐メーカーには中小零細事業者が多く、そのコストが経営を圧迫するケースもあった。
 「小さな豆腐店でも実践できるような、何かもっといい方法はないだろうか」。常々そう考えていた宮竹社長にヒントを与えてくれたのは、約3年前に導入したコンテナ(容器)洗浄機だった。

水分率を50%に低減肥料として農家が活用

 この洗浄機には、洗浄後、びちゃびちゃになったコンテナを乾燥する機能が備わっていた。おからも乾燥させれば、扱いやすくなり、流通しやすくなる。そうひらめいた宮竹社長が考えたのがおから乾燥機だった。
おから乾燥機の写真。未利用だったボイラーの蒸気熱を活用して空気を温める。 とはいえ既存の食品用大型乾燥機は3,000万円と高額で、稼働させるにはオペレーターも不可欠だ。これでは経営体力に乏しい事業者は導入できない。そこで、宮竹社長がボイラーの蒸気熱で暖めた空気を利用しておからを乾かすアイデアを考案。金沢市内の食品機械メーカーがそのアイデアを具体化した。
 同社におから乾燥機が設置されたのは2020年6月のことだった。これにより、同社のおからはフィーダーと呼ばれる搬送装置によって工場内に巡らせたパイプに送り込まれ、90℃の熱風で半乾燥させた後、そのまま外にあるトラックに積み込めるようになった。
 おからに含まれる水分率は約75%から約50%にまで低減し、臭みもなくなった。トラックに積まれたおからはそのまま近隣の農家に運び、堆肥として利用してもらう。水分率を約50%にするのは、堆肥として発酵させるのに適しているからだ。

飼料としてペレット化 業界誌でPRへ

 ボイラーは豆腐メーカーならば必ず使っており、その蒸気熱は未利用のエネルギーだ。新たな設備投資費は約300万円、ランニングコストは月5,000円程度で、宮竹社長は「この金額ならば、全国に6,000軒あると言われる豆腐店の約3分の2で検討してもらえるのでは」と期待を寄せる。
宮竹栄治社長の写真。おからを廃棄せず、肥料や飼料として2次利用してもらうため、乾燥機の普及に意欲を燃やす。 こうした取り組みはまさにSDGsの「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」に合致するのではと水を向けると、宮竹社長は「特に意識しているわけではない」と言いつつ、「日本には古くから“もったいない”という言葉がある。おからも使いようによっては、たっぷり栄養を含んだ肥料や飼料に生まれ変わる。どの業界でもそんな気持ちで仕事に取り組めば、おのずとSDGsの達成につながっていくのでは」と話してくれた。
 同社では現在、おからを肥料として活用してもらうほか、石川県の畜産振興・防疫対策課の協力を得て、飼料として活用した場合の効果や牛・豚などが食べやすいよう粒状にするペレット化などについても研究を進めている。
 今後、研究成果がまとまり次第、業界誌を通じて、取り組みを紹介し、おからの廃棄に心を痛めている豆腐メーカーに乾燥機の導入を呼び掛ける考えだ。

企業情報

企業名 有限会社 美川タンパク
創業・設立 創業 1994年12月
事業内容 産業廃棄物リサイクル製品の開発、施工

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関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.115
備考 情報誌「ISICO」vol.115より抜粋
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掲載号 vol.115

 


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