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魚の「たたき」をシリーズ化 能登の海の幸を県内外に発信「鰤(ぶり)のたたき」 ~(株)宮商

印刷用ページを表示する更新日:2017年9月29日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2016.AUTUMN|VOL.01

CASE 02 宮商

宮元敏夫社長 写真水揚げ量や価格が安定せずリスクもありますが、
地物にこだわっていきたいですね。

【活性化ファンド採択メニュー】
平成21年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)
平成24年度 産業化資源活用事業(海外展開支援)

魚の「たたき」をシリーズ化 能登の海の幸を県内外に発信

表面は香ばしく、中身は刺し身のように そのおいしさにリピーターが続出

生臭みを残さない独自加工

能登タコのたたきの製造風景 写真 海産物の加工・販売を手がける宮商の看板商品となっているのが魚の表面をあぶった「たたき」シリーズだ。現在、ブリ、能登産本マグロ、能登タコ、ノドグロ、能登ふぐ、サーモンの6種類があり、「表面は焼いた香ばしさ、中身は刺し身のおいしさが味わえる」と好評で、リピーターが続出している。

 同社のたたきの特徴は、機械で大量生産するのではなく、焼き加減を人の目で見極めながら一つ一つ丁寧に手焼きする点にある。宮元敏夫社長は「脂が乗った魚をたたきにすると、焼いた表面と生の部分の間にできる半生のところに生臭みが残る。それをこうした工夫で極力少なくしているので、臭みがなく、魚の旨みを十分に味わうことができる」と解説する。
 また、急速凍結することによって、魚の細胞内にできる氷の結晶の変形、細胞の破壊を抑え、新鮮な品質を維持している。
 さらに、「県外の人が金沢の食に求める要望は高い」(宮元社長)ことから、例えば、「ノドグロのたたき」には飾り包丁を入れて焼き目を強調するなど、見た目のおいしさにもこだわっている。

地元素材で次々と商品開発 

 同社が「たたき」シリーズの開発に着手したのは平成17年のことだ。北海道でカツオのたたきがよく売れるという話を聞いた宮元社長が、カツオの代わりに石川県産のブリをたたきにしようと考えたのがきっかけだった。
 まずは養殖ブリから開発を始め、これが好評だったことから、平成21年度に採択を受けた活性化ファンドを利用して「たたき」商品のシリーズ化に踏み切り、能登産の天然ブリ、本マグロ、能登タコと県産素材を中心にラインアップを充実させてきた。活性化ファンドの支援が終了した後も、シリーズ化の取り組みは継続しており、2年前には能登沿岸で捕れる天然フグを使った「能登ふぐのたたき」を商品化している。

直営店は5店舗に 

 この間、同社では西金沢にある「逸味・潮屋(いつみうしおや)」本店に加え、金沢百番街店(平成17年)、近江町いちば店(平成22年)、徳光ハイウェイオアシス店(平成25年)と着々と直営店を増やし、販売力を強化。オンラインショップも整備した。
 今年4月には、金沢を訪れる観光客に人気のひがし茶屋街にも店舗をオープンした。こちらは販売ではなく、「たたき」シリーズを使った丼物を提供する店で、宮元社長は「予想を大きく上回る売り上げを記録している」と笑顔を見せる。
 直営店以外では、県外の有名百貨店で開かれる物産展も重要な販路だ。出店回数は年間30~40回に上り、全国に「たたき」シリーズのファンを広げている。このほか、ノドグロのたたきなどは、伊勢丹や『家庭画報』を出版する世界文化社が運営する通販でも人気商品となっている。
 平成24年度には再び活性化ファンドの採択を受けて英語版のカタログやパッケージを制作し、海外市場への展開にも取り組んでいる。これまでにシンガポールやマレーシア、台湾で開かれた見本市に出展。釜親(かもや)良裕常務は「日本食に対する関心の高さもあって、評判は上々だが、アジアでは日本のように加工食品を切り分けて食卓に出す習慣があまりないので、今後はこだわりの食材を扱っている飲食店への卸販売を狙っていきたい」と意欲を示す。
 また、今後、国際冷凍宅配便が今よりもリーズナブルな料金で利用できるようになれば、海外向けのネット通販にも力を入れる考えだ。

新型フリーザー導入で効率化

 ラインアップの充実や販路の拡大によって、「たたき」シリーズを発売する前と比べ、同社の売り上げは倍増した。「たたき」シリーズはこのうちの約50%を占める大黒柱だ。事業の成長に合わせ、従業員数もおよそ2倍に増えた。
 順調に伸びるニーズに応え、商機を確実につかむため、今春、ISICOの設備貸与制度を利用して新型の急速冷却冷凍装置「3Dフリーザー」を導入した。従来のフリーザーに比べ、2倍以上の量を一度に加工できるため、生産効率が向上した。
 新型フリーザーの導入は効率化だけでなく、品質アップにもつながっている。というのも、従来のように一方向から冷気を当てるのではなく、食材全体を包み込むように冷却するためで、これによって冷却中に細胞を壊さず、食材の劣化が抑えられる。
 さらに、従来機のように高価な窒素ガスを使わないため、コストダウンも期待できる。
 「今のところ、北陸新幹線の開業効果が持続しており、業績は好調を維持しているが、油断すればすぐに下がってしまう。そうならないよう、お客様にまた食べたいと思ってもらえるようなおいしい商品を作り続けると同時に、これからも県産の海産物を使って新商品を開発していきたい」。そう話す宮元社長の視線はどこまでも前向きだ。


鰤のたたき 写真鰤(ぶり)のたたき
脂の乗ったブリを奥能登の揚げ浜式塩田の塩で下処理した後、職人が焼き加減を見極めながらあぶって仕上げる。冷凍した状態で販売しており、自然解凍した後、スライスしてわさび醤油やポン酢を付けていただく。冬になると天然の能登寒ブリを使ったものもお目見えする。

成功のエッセンス

魚のおいしさを引き出す加工法確立

・地元の海産物を活用して商品を拡充

・直営店を増やし、販売力を強化

企業名株式会社宮商
住所金沢市西金沢2-168-1
TEL076-249-6989
事業内容海産物の加工・販売
設立昭和58年3月