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「伝統工芸×IT」をテーマに商品開発 九谷焼や山中漆器の新市場を創出「九谷焼USBメモリ」 ~(株)朝日電機製作所

印刷用ページを表示する更新日:2017年9月29日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2016.AUTUMN|VOL.01

CASE 04 朝日電機製作所

砂崎友宏専務 写真伝統工芸の可能性を広げる
新市場の創出が目標です。

【活性化ファンド採択メニュー】
平成20年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)
平成27年度 産業化資源活用事業(商品魅力向上支援)

「伝統工芸×IT」をテーマに商品開発 九谷焼や山中漆器の新市場を創出

国内外で人気を集めるUSBメモリやiPhoneカバー

約3分の1を海外で販売

山中漆器の技術を生かして加飾したiPhoneカバー、マウス、USBメモリ 写真 朝日電機製作所では、九谷焼や山中漆器の職人と連携して伝統工芸の技術を生かして加飾したUSBメモリを開発し、年間2,000個を売り上げるヒット商品に育て上げた。東急ハンズやセレクトショップ、自社のネットショップで販売するほか、販路は海外にも広がっており、今では売り上げの約3分の1を中国や台湾、シンガポールなどが占めている。開発や販路開拓には活性化ファンドの助成金を活用した。

 ここ数年、データをインターネット上に保存しておくクラウド型のストレージサービスの普及によって、データを持ち運ぶためのUSBメモリの需要にかつてほどの勢いはない。しかし、同社ではそうした市場の変化に対応し、蒔絵(まきえ)や金箔で彩ったマウス、iPhoneカバー、スマートフォン用バッテリーを次々と商品化。ラインアップを拡充することで、売り上げを増やしている。
 平成25年にはこうした伝統工芸事業が、制御装置の設計・製造、電子機器の設計・製造に続く三つ目の事業部となり、同社としても今後の一層の成長に期待をかけている。

寸法精度が安定せず苦労

 開発のきっかけは、北陸先端科学技術大学院大学で社会人学生として学んでいた同社の砂崎友宏専務が、伝統工芸の新たな担い手を育成する同大学の「伝統工芸イノベータ養成ユニット事業」に参加したことだった。
 この事業で九谷焼や山中漆器の職人らと協力し、伝統工芸とITを融合させた商品開発に取り組んだ砂崎専務は次のように当時の心境を振り返る。「石川県には多くの伝統工芸が息づいていますが、業界を取り巻く環境は厳しさを増すばかりです。そこで当社の得意分野であるITとコラボレーションした商品を生み出せれば、今まで伝統工芸に触れたことのない方や興味のない方にその魅力を伝えられるのではないかと考えました」。
九谷焼USBメモリの組み立て作業 写真 事業の第一弾として取り組んだのが九谷焼や山中漆器のUSBメモリである。商品化にあたっては苦労もあった。その一つは九谷焼の焼き上がりの寸法が一定になりにくいことだった。九谷焼のケースとそこに差し込むUSBメモリのサイズがぴったりと合っていなければ、ふたがうまく閉まらないなど不具合の原因となる。そこで、成型の精度を上げると同時に、朝日電機製作所でも組み立て前に九谷焼ケースを研磨したり、USBメモリを真っ直ぐに固定するための専用器具を開発したりして、問題を解決していった。

現地パートナーが積極的に拡販

 販路は東京インターナショナル・ギフト・ ショーへの出展などを通して広げていった。商品に対するバイヤーからの評価は高く、企業のノベルティーとして採用されることもあった。
 近年著しく伸びているのが海外市場での売り上げだ。海外市場へのチャレンジは同社のグループ企業があるシンガポールの百貨店で開かれた催事に出店することからスタート。さらに、香港、台湾、中国の百貨店の催事や展示会に参加することで売り先を拡大していった。
海外での展示会の様子 写真 また、台湾や中国では、催事や展示会で通訳を務めてくれた現地女性に歩合制で販売を委託。展示会などが終了した後も、バイヤーら見込み客と商談を継続するほか、現地でネットショップを立ち上げるなど、精力的に販売に協力してくれている。
 海外での販売を伸ばすため、現地消費者の声を取り入れた商品開発にも注力している。例えば、シンガポールでは明るい色使いや花柄が好まれることからカラフルな花を敷き詰めたデザインのiPhoneカバーを制作した。また、中国では金魚が金運を上げる縁起のいい魚とされることから金魚をモチーフにしたiPhoneカバーを商品化。各地の中華系の消費者から人気を得ている。

ノウハウ生かし脱下請けを

 砂崎専務は伝統工芸事業について「将来は売り上げを現状の約2倍となる1億円に伸ばし、スタッフも2名から5名に増やしたい」とビジョンを描く。
 その実現に向けて砂崎専務は三つの課題を挙げる。一つ目は同社が展開する商品のイメージと認知度を上げるブランドの構築だ。二つ目は海外販路の強化で、台湾や中国のように他の国々でも現地で販促に協力してくれるパートナーを見つけ、商品を供給するだけで、日本から出向かなくても拡販できる仕組み作りを目指す。三つ目は新商品開発だ。IT分野では今年、モバイルバッテリーやICタグを発売し、これに続き、例えばゴルフやテニスといったスポーツなどライフスタイルに密着した新市場での商品開発を考えている。
 同社にとって伝統工芸事業の売り上げはまだまだ小さいが、砂崎専務はこうした取り組みが本業へもいい影響を与えてくれることを期待している。
 「制御装置、電子機器の設計、製造は下請けの仕事ですが、伝統工芸事業を通じて、自社商品の企画開発から製造、販路開拓に至るプロセスを学ぶことができました。このノウハウを本業へも伝播させ、新たなビジネスを生み出したいと思っています」。
 伝統工芸とのコラボレーションや脱下請けが今後どのように進むのか。同社の奮闘に注目したい。 


九谷焼USBメモリ 写真九谷焼USBメモリ
青手と呼ばれる古九谷の画風を再現したもののほか、桜やヤマガラをモチーフにしたもの、人気キャラクター・ハローキティを描いたものなど、さまざまなタイプがある。陶磁器のずっしりとした質感が高級感を演出する。容量は16GB、価格は10,000円(税別)。平成21年度石川ブランド認定製品。

成功のエッセンス

・地元の伝統工芸とITを融合して商品化

・海外ニーズをとらえたデザイン展開

・販促活動の協力者を海外で獲得

企業名株式会社朝日電機製作所
住所白山市旭丘1丁目10番地
TEL076-274-2525
事業内容制御装置、電子機器の設計、製造
設立昭和56年7月