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4種の消化器系がんの有無を世界で初めて血液検査で判定 ~(株)キュービクス

印刷用ページを表示する更新日:2017年9月29日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2016.AUTUMN|VOL.01

CASE 07 キュービクス

丹野博社長 写真活性化ファンドが自社で研究を進める
推進力になりました。

【活性化ファンド採択メニュー】
平成20年度 医商工連携事業(商品開発・健康サービス創出支援)

 

4種の消化器系がんの有無を世界で初めて血液検査で判定

スタートアップ時の支援が研究開発、事業化の推進力に

90%の高精度を実現

mRNAは検査を待つ間に変質しないよう、マイナス80度の冷凍庫で保管する 写真 キュービクスでは、がん患者に特異的に発現する遺伝物質を使って、血液検査でがんを見つけ出す事業に世界で初めて取り組み、急成長を遂げている。

 仕組みはこうだ。がん細胞が発生すると人体では免疫機能が働き、このとき血液中に特有の遺伝物質「mRNA」が現れる。そこで、被験者の血液から採った遺伝物質を、ガラス板の上に約4万4,000種類もの遺伝物質を並べた「DNA マイクロアレイ」に載せて反応させ、mRNA の有無や濃度といった構成パターンを解析する。がん患者には健康な人とは違う固有の構成パターンが見られるため、がんの有無が分かるというわけだ。
 がんの検査でよく使われるCTスキャンやMRIは体に放射線や磁気を当て、画像でがんを見つけるが初期の小さな病変は見つけにくい。キュービクスの検査ならば、がんの大小にかかわらず判定することが可能で、がん治療の決め手となる早期発見が実現する。5ccの血液を採るだけで済むので、被験者の体への負担は非常に少ない。
 気になる精度について丹野博社長は、「がん患者をがんと判定する“ 感度” が90%、がんにかかってない人を健康と判定する“ 特異度” が90%と極めて高い」と胸を張る。現在、胃がん、大腸がん、すい臓がん、胆道がんの4種を判定することが可能で、がんがあると判定された場合は精密検査を経て、診断を確定させる。
 石川県内の約40カ所を含め、北海道から沖縄まで400カ所の医療機関で受け付けており、キュービクスが解析を受託。受託数は右肩上がりで、平成27年から28年にかけては60%アップと急カーブを描き、年間3,000件を受託した。

産学官連携で研究を推進

 外資系医薬品メーカーに勤めていた丹野社長がキュービクスを設立したのは、平成16年8月にさかのぼる。金沢でも18年間の営業経験を持ち、赴任中に金沢大学医薬保健学域の金子周一教授から同大が保有する遺伝子データからがん患者に特有の遺伝子を特定できれば、診断に利用できるのではないかというアイデアを示され、事業化に挑戦した。
 その後、金沢大学附属病院をはじめ、医療機関16カ所と共同研究に取り組み、平成21年にがんの有無を判定する遺伝物質の特定に成功。平成23年8月に解析事業をスタートさせると、2年目には事業単体で黒字化した。
 この間、大きな助けとなったのがISICOのサポートだった。医療機関との共同研究を始めた平成19年にはISICOの支援担当者と協力してまとめ上げた経営革新計画が石川県から承認され、低利の融資を受けて遺伝物質の発現量を測定する「DNA マイクロアレイスキャナー」など、研究に必要な機器を導入した。
 平成20年には活性化ファンドに採択され、助成金をDNA マイクロアレイや採血管など共同研究に必要な器具の購入費用に充てた。遺伝物質を解析するために必要なマイクロアレイは1枚(4人分)で12万円、血液を保存する採血管が1本(1人分)で1,500円など、遺伝子解析に用いられる器具は高額で、活性化ファンドが自社での研究を進める大きな推進力となった。

新検査法を確立し費用低減へ

DNAマイクロアレイを使った検査の様子 写真 とはいえ、検査の普及にはハードルもある。それは高価な検査費用で、健康保険が適用されない自由診療ということもあって、医療機関によって差異はあるものの概ね7 ~10万円に設定されていることだ。
 そこで、キュービクスが取り組むのが新たな検査法の確立だ。新検査法はがんの判定に使うmRNAの数を20種類ほどに絞り込んだ上で、DNAマイクロアレイではなく、リアルタイムPCR法と呼ばれる遺伝子解析手法としては一般的な手法を用いる。新検査法が確立すれば、検査費用を現在の4分の1程度に低減し、判定に要する時間も現在の4日から4時間に短縮できる。新検査法では医療機関内でがんを判定できる検査キットとして販売することも可能で、一層ビジネスチャンスは拡大する。
 新検査法の研究は、平成22年に経済産業省の中小企業研究開発事業の採択を受けてスタート。「活性化ファンドなどISICOの支援があったおかげで、経産省の事業の採択を受けられるまでに事業を進めることができた」と丹野社長は振り返る。
 新検査法は今年度中に治験が終了する予定で、うまくいけば平成30年に検査を開始できる見込みだ。
 さらに、キュービクスでは海外展開も視野に入れており、既にドイツではmRNAの発現に日本人との違いがあるかどうかを調べるための臨床研究を進めているほか、インドの富裕層向けの病院とも導入に向けて契約を取り交わした。
 「今後は乳がんや前立腺がんなど他のがんを判定できるように研究を進めたい」と意気込みを示す丹野社長。がん検査のあり方を大きく変える可能性を秘めたビジネスモデルとして、今後の成長に期待が膨らむ。


DNAマイクロアレイ 写真

DNAマイクロアレイ
検査に使うDNAマイクロアレイ。縦2.5センチ、横7.5センチの小さなガラス板の上に約4万4,000種類もの遺伝物質が並べられ、1枚で4人分の検査ができる。写真はそれをスキャナーで読み込んだもので、蛍光の有無や濃淡でがん患者に特有のmRNAが発現しているかどうかを判定する。

成功のエッセンス

・前職で培った人脈を生かして共同研究

・がん患者特有の遺伝物質を世界で初めて特定

・90%という高精度のがん判定を実現

企業名株式会社キュービクス
住所野々市市末松三丁目570 いしかわ大学連携インキュベータ
TEL076-201-8821
事業内容DNA マイクロアレイ血液検査、学会の運営など
創業平成16年8月