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和紙を折り込んだ新素材「ネキーロ」 ファッションや寝具として販路拡大 ~オリケン(株)

印刷用ページを表示する更新日:2017年9月29日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2017.SPRING|VOL.02

 CASE 05 オリケン

創業から二人三脚で技術開発や販路拡大に取り組んできた亀井千代子社長と岡田功取締役 写真どこにもない新しい繊維を作りたい。
そう考えて開発したのが ネキーロでした。

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平成22年度 産業化資源活用事業(小規模企業者支援)
平成26年度 産業化資源活用事業(商品魅力向上支援)

和紙を折り込んだ新素材「ネキーロ」 ファッションや寝具として販路拡大

柔らかく肌触りも抜群 夏は涼しく、冬は温かく

テープ状の和紙を横糸に

ネキーロを使って作られた婦人服 写真 オリケンが独自に開発し、製造・販売するのは和紙を織り込んだ新素材「ネキーロ」である。
 ネキーロの特徴は何と言ってもその柔らかな肌触りである。和紙を使った織物はこれまでにもあったが、それらは和紙に撚りをかけて糸状にして織っていたため、硬くごわごわとした感触だった。一方、ネキーロは幅1~10ミリのテープ状にした和紙を撚らずにそのまま横糸として使用することで、従来の和紙織物とは一線を画する優しい風合いを実現している。専門家でも、触っただけでは和紙とは気付かないほどだ。耐久性にも優れ、繰り返し洗濯しても問題ない。
 「和紙には湿度が高い時は水分を吸い、少ない時には放出する調湿機能があり、夏は汗を吸ってくれて爽やかな状態を保ってくれます。保温性もあるので、冬は温かさを保ってくれて、まるでエアコンのような素材です」。ネキーロについて、そう説明するのは亀井千代子社長である。
 織機を独自に改良し、和紙をテープ状のままで織り込むことを可能にしたのは、技術開発を担当する岡田功取締役だ。
 ネキーロは地元企業と連携してストールやスカーフを商品化し、輪島市の朝市通りにある洋品店で販売するなどし、年間約1万枚を販売するヒット商品となっている。また、京都のメーカーと協力して製造する帽子は、蒸れないと評判で首都圏の百貨店の人気商品となっている。

10年で売り上げは約4倍に

 とはいえ、少人数で経営する会社にとって、最終商品にまで仕上げて売るのは負担が重い。そこで、売り上げの主力として力を入れているのが生地の販売である。
 平成24年には東京・大阪を中心にオーダースーツの専門店を全国展開する紳士服メーカーと取引を開始。春夏ものとして「身に着けるエアコン」のキャッチフレーズで、直営店とフランチャイズ店を合わせて100店舗以上で約1,000着を販売した。同社の幹部もネキーロ製のジャケットを愛用するなど、関係はますます深まっており、昨年からは通年で、しかも反物を買い取ってもらうかたちで生地を供給している。
 また、今年2月からはオーダーシャツを製造する日本オーダーソーイング研究所(熊本県玉名市)のカタログにネキーロが定番生地として採用されている。
 さらに、山形県にある寝具メーカー・ネムールでは、今年2月開催の東京インターナショナル・ギフト・ショーでネキーロを使ったパジャマやブランケットをお披露目した。
 自社商品の販売からスタートし、その後、生地販売が少しずつ軌道に乗り始めた結果、売り上げは設立した当初と比べ4倍にアップ。今年6月の決算では過去最高の業績を見込んでいる。

最適な展示会をISICOが見極め

ネキーロの生地サンプル。幅2ミリにカットされたテープ状の和紙が横糸として使われている 写真 「どこにでもあるような糸ではなく、人にも環境にも優しい天然素材を使った新しい繊維を作りたい」(亀井社長)との思いから、同社がネキーロを開発したのは平成18年にさかのぼる。その後、ネキーロを使ったサンプルの製作や販路開拓を後押ししたのが活性化ファンドの助成金だった。吸水性や保水性などに関する客観的なデータを得るための試験にかかる費用にも助成金を活用した。
 出来上がった商品は、ISICOが香林坊大和で開催した「石川のこだわり商品フェア」や都市圏で開かれる展示会などでPR。同時に亀井社長は持ち前のバイタリティーで、問い合わせがあるたび、サンプル生地を持って全国各地に車を走らせた。
 こうした取り組みが実って、平成22年には有名ファッションデザイナーの手がけるブランドに採用されるなど、販路が広がっていった。
 当時について亀井社長は「ISICOのスタッフが、数多くある展示会の中から、ネキーロの販路開拓に最適なものがどれかを見極め、出展するよう背中を押してくれました」と振り返る。例えば、先ほど述べた紳士服メーカーとの取引も、ISICOの勧めで出展した大手繊維企業主催の展示会が糸口となった。

共に成長できるパートナーを

 このほか、ISICOの情報誌に掲載されたネキーロの紹介記事を見て、新聞やテレビが取材に来ることも多く、認知度アップにつながっている。
 インターネットで「和紙織物」とキーワード検索すると、この情報誌の記事が上位に表示されるため、これを見て問い合わせがくるケースもある。先ほど紹介した日本オーダーソーイング研究所もネット上の記事をきっかけに商談が進んだ取引先の一つで、海外からインテリアの材料に使いたいとオーダーが舞い込んだこともある。
 「ISICOと出会っていなければ、ここまで続けてくることはできませんでした。少しずつでも成長することが恩返しだと思っています」と話す亀井社長。「これからも実用的なもの、必要とされるものを作っていきたいと思います。企業規模は小さくても、ネキーロの良さを理解してくれて、共に成長できるようなパートナーを探したい」と話し、今後も一足飛びに成長を目指すのでなく、一歩一歩着実に用途開発と販路開拓に取り組む考えだ。


ネキーロ 写真ネキーロ
和紙を横糸に、レーヨンを経糸に使った新素材「ネキーロ」。テープ状の和紙を織り込むことで、従来の和紙織物では実現できなかった柔らかさを実現。通気性や調湿性に優れる和紙の性質を生かし、夏は涼しく冬は温かく着られるのが特徴だ。平成24年度には「プレミアム石川ブランド製品」として認定された。写真は天然素材の染料で染めたストール。

成功のエッセンス

テープ状の和紙を織る世界初の技術開発

・肌触りがよく、和紙の機能性や軽さを生かした新素材の実用化

・最終商品にこだわらず、生地販売に注力

企業名オリケン(株)
住所羽咋市本江町ヘ55
TEL0767-26-0012
事業内容各種織物製品の企画・製造・販売
設立平成18年9月