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木の温もりをバッグに 新たな経営の柱に成長「BOIS」 ~(株)谷口

印刷用ページを表示する更新日:2017年9月29日更新

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2017.SPRING|VOL.02

 CASE 07 谷口

歩く広告塔を自認する谷口正晴社長。バッグやペンケースなどBOISブランドを愛用する。手にするのは「縫える木」で作った折り鶴 写真昔ながらの木工屋の殻に閉じこもっていては
生き残っていけません。

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木の温もりをバッグに 新たな経営の柱に成長

「縫える木」を世界で初めて開発 ファッションやステーショナリーにも

世界にただ一つの模様

BOISブランドはバッグのほか、名刺入れ、スマートフォンケース、ブックカバーなどをラインアップしている 写真 木製工芸品を製造する谷口の人気商品となっているのが木と革を組み合わせて作ったバッグ「BOIS(ボイス)」である。木でバッグを作ると聞くと不思議に思うかもしれないが、これを可能にしたのが、同社が独自に開発した「縫える木」だ。これはごく簡単に言うと、0.12~0.15ミリの薄さにスライスした木に柔軟性を加える特殊な加工を施し、不織布を張り合わせたもの。薄く削った木は割れやすいが、「縫える木」は針で縫うことが可能で、これを牛革やオーストリッチにミシンで縫い付けてバッグにする。
 原料は、しま模様が美しい黒柿をはじめ、サクラ、ヒノキ、タモ、トチなどの国産材で、木の種類によって個性的な色合いや木目を楽しめる。どれも樹齢100年以上の天然木を材料としているだけに、一つとして同じ模様のバッグは存在しない。
 これまでにハンドバッグやトートバッグ、ショルダーバッグといったバッグ類のほか、財布、コインケース、名刺入れ、パスケースなどを商品化。全国にある百貨店の催事や首都圏のセレクトショップのほか、大手通販会社のカタログ、自社のネットショップなどを通じて販売しており、平成22年の発売以降、右肩上がりで売り上げを伸ばしている。今では同社の売り上げの約30%を占める事業となっており、谷口正晴社長は「将来は50%まで伸ばしたい」と話す。

一人で6、7個所有する女性も

 そもそも谷口が得意としてきたのは食器や家具、インテリア小物で、中でも碁笥(ごけ)の生産では約65%と日本一のシェアを誇る。
 そんな同社がバッグの製造に乗り出したのは、ライフスタイルの変化によって木工品のニーズが減少しているからだ。そこで、木の需要を何とか伸ばそうと取り組んだのが「縫える木」の開発である。そして、消費意欲の旺盛な女性をターゲットにして新商品を作るため、活性化ファンドの助成を受けて開発したのがBOISだった。
 開発段階では、バッグの試作品を社員一人ひとりが実際に持ち歩いて不都合な点がないか、1年かけてチェック。消費者の信頼を獲得するには客観的なデータも必要と考え、石川県工業試験場に水濡れ検査や引っ張り検査を依頼した。
 ちなみにBOISとは、フランス語で森を表す「bois(ボア)」と英語で声を意味する「voice(ボイス)」にちなんだネーミングだ。その名の通り、お客様の声を取り入れながら改善を重ねている。
 百貨店の催事や展示会に出展したり、新作を発表したりするたびにファンが増え、一人で6、7個も所有する熱心な女性もいる。
 「バッグの形はそのままに、木の種類を変えてほしい」「革の色を部分的に変えてほしい」といった要望も多いため、昨年末にはネットショップをリニューアルし、オーダーメイドに対応できるようにした。

東京コレクションに登場

MOKUブランドのバッグ。栗の木の美しい木目と漆の上品な艶が特徴だ。 写真 BOISをきっかけに、思いも寄らない企業から商談が舞い込むなど、仕事の幅も広がっている。
 例えば、「ハナエモリ マニュスクリ」とのコラボレーションもその一つだ。今年3 月に開催される、日本の最新ファッションを世界に発信する「東京コレクション」では、ハナエモリ マニュスクリの天津憂さんがデザインしたBOIS のバッグ、「縫える木」や小さな木製プレートを組み合わせて作った洋服がお披露目される。
 このほかにも、家電製品の外装、車の内装材、壁紙といった用途に本物の木を使いたいとの要望が寄せられている。
 「素材供給の面でも大きなビジネスチャンスが広がっています」と期待を寄せる谷口社長。「これしかできないと昔ながらの木工屋の殻に閉じこもっていてはいけません。今まであった仕事は減ってきているわけですから、伝統工芸で培った技術を生かして、現代の生活に合う新しいものを作っていくために、前向きに考えて、積極的にチャレンジしていきたいと思います」と目を輝かせる。

相乗効果狙って新ブランド

 海外の展示会にも出展し、5年前からニューヨークや台湾、シンガポールのショップでも販売されている。スイスの家具メーカーからはソファの革の代わりに使いたいとの依頼もある。
 売れ行き好調のBOISだが、「誰も木がこんなふうになると思わないから、説明しないと売れない。毛皮と間違えられることもある」(谷口社長)という悩みもある。
 そこで、説明しなくても売れるようにと、再度活性化ファンドを活用して商品開発し、平成27年度に発売したのが木をくり抜いて作ったバッグ「MOKU」である。こちらは、ひと目見ただけで誰もが木製と分かる商品で、並べてディスプレイすることでBOISにも木が使われていることをPRするのが狙いだ。
 このほか、木から抽出したエッセンスの香りを楽しむことができる木製アロマディフューザーや樹液を甘味料にした菓子なども試作中である。「将来は、品ぞろえを広げて木の総合ショップを作りたい」。谷口社長の夢はまだまだ広がる。


BOIS 写真BOIS
樹種の違いで個性的な色合いや木目を楽しめるBOISのバッグ。写真手前はくり手型ハンドバッグ( 黒柿/ 50,000円/ 税別)、奥はタッセルメッシュバッグ(黒柿/65,000円/ 税別)。平成22年度の石川ブランド優秀新製品の生活産業部門で金賞を受賞した。

成功のエッセンス

・革や布に代わる世界初の素材づくりに成功

・消費意欲の高い女性を対象にした商品開発

・バッグを広告塔に新たな取引先を開拓

企業名(株)谷口
住所金沢市駅西新町2-19-17
TEL076-223-5451
事業内容欅工芸品、碁笥、木製工芸品・家庭用品・家具の製造販売
創業昭和22年4月