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海水から作る珠洲の塩 海藻や能登野菜で12種に ~(有)新海塩産業

印刷用ページを表示する更新日:2017年12月21日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2017.AUTUMN|VOL.03

CASE 03 新海塩産業

紅谷光 昭社長の写真

この釜で5~6日、“かん水”を炊き上げると海水塩の出来上がりです。
ミネラル豊富な自信作です。

【活性化ファンド採択メニュー】
平成20年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)
平成28年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)

海水から作る珠洲の塩 海藻や能登野菜で12種に

オリジナリティーに磨きをかけ売り上げの柱に成長

古代の製塩法をヒントに

新海塩産 業独自の流下式塩田の写真 「流下式塩田製塩法」と呼ばれる独自の方法で海水から塩を製造する新海塩産業。同社ではオーソドックスなものに加え、桜色や緑色、黄色、黒色といったカラフルな海水塩の開発に力を注いでいる。
 先駆けとなったのは、自家製の梅干しの漬け汁に漬け込んだ後、天日干しで乾燥させた「桜塩」である。その名の通り桜の花の色を連想させる色合いで、わずかに酸味があるのが特徴だ。毎年春には山菜の天ぷらに添える塩として人気を得ている。
 桜塩の評判が良かったことから、さらにバリエーションを増やそうと開発したのが「藻塩」である。これは珠洲近海で採れるホンダワラという海藻のエキスに海水塩を3カ月ほど漬け込んで天日干しした商品だ。薄い茶色でほんのりと海藻の旨みが感じられる。
 「古墳時代の瀬戸内地方では、海で採った海藻を天日で干し、海藻に付着した塩分を海水で洗って塩分濃度の高い“かん水” を作り、これを土器で煮詰めて塩を作っていたそうです。この方法をヒントに開発したのが藻塩です」(紅谷光昭社長)。
 藻塩の開発は平成20年度の活性化ファンドに採択され、試作開発はもちろん、藻塩の商品化に合わせ、商品によってばらばらだったパッケージを統一感のあるデザインにリニューアルするため、助成金が大きな後押しとなった。
 発売以降、着実にファンを増やしているほか、最近ではインターネットのニュースサイトで、藻塩を使えばだしや化学調味料を入れなくても、こくの深い料理ができると紹介され、人気に拍車を掛けている。

イメージ覆す黒い塩

 彩りを楽しめる海水塩の開発はその後も続き、同社では桜塩、藻塩に加え、平成27年度までに「竹炭塩」「中島菜塩」を商品化している。
 竹炭塩は青竹に海水塩を詰め込み、炭焼き職人が窯で三日三晩焼き上げたものだ。塩のイメージを覆す黒い色味はインパクト十分。焼き塩ならではの苦みのないまろやかな味わいも特徴だ。塩の詰め込み方や火加減の工夫によって、黒い塩を塊のまま販売することも可能で、金沢市内のホテルなどではステーキにおろし金で削って振りかけるパフォーマンスが好評だという。
 今年5月に富山県で全国植樹祭が開催された際、魚津市内のホテルで提供された食事にも竹炭塩が添えられた。
 一方、中島菜塩は能登野菜のひとつ、中島菜のパウダーを海水塩に混ぜた商品だ。薄緑色でバジルの代わりにイタリア料理に用いる購入者もいる。
 こうしたカラフルな海水塩は現在、同社の売り上げの20〜30%を占めるまでになっており、企業の成長に大きく貢献している。色付きの海水塩をきっかけに、ベーシックな商品を買い求める消費者や料理人も多く、同社のPRにも役立っている。
 また、藻塩や竹炭塩はニューヨークの日本料理店などからも引き合いがあり、他の商品と合わせ、輸出比率は約10%にまで高まっている。

さらに多色展開へ

かん水”を煮詰める釜の写真

 同社ではオリジナリティーにさらに磨きをかけようと、平成28年度には再び活性化ファンドの採択を受け、新商品の開発に挑戦した。
 当初、開発テーマに掲げたのはオリンピックマークに使われている5色(青・黄・黒・緑・赤)のうち、同社が商品化していない青色と黄色の海水塩の開発だった。東京オリンピック開催時に外国人観光客などに土産品として、5色の海水塩をセット販売するのが狙いだ。また、「黄・黒・緑・赤は食材で表現できるので、青い塩を開発すれば、オリンピックを記念したメニューを開発する際、料理人が使ってくれるのでは」(紅谷社長)という期待もあった。
 ただし、開発を進めるうち、オリンピックを連想させる商品をスポンサーでない企業が製造販売することは知的財産権に抵触することが分かったため、5色にとらわれず、さらに多色展開を目指す方針に変更した。

新ブランドは「sale(サーレ)」

 開発の結果、商品ラインアップは12種にまで広がった。新たに加わったのはカボチャとウコンを使った黄色、ホウレンソウを使った濃緑、酢に漬けると赤くなるダイコン「能登むすめ」を使った薄紫色、シソを使った赤色、中南米やアフリカの湖に自生する淡水藻スピルリナを使った青色の5種である。
 「青だけはどうしても見つからず、スピルリナを用いましたが、これを除けば、着色に用いたのはすべて能登産の素材です」(紅谷社長)。
 これら以前に開発した桜色、茶色、黒色、薄緑色、そして従来からある白色の塩3種を合わせて12種というわけだ。
 12種の海水塩は来年1月、イタリア語で塩を意味する「sale」のブランド名で、パッケージも一新して発売を予定する。紅谷社長は「これまでと違う洋風のイメージで打ち出し、イタリア料理店などでも扱ってもらえるようにしたい」とその狙いを話す。
 発売を控え、活性化ファンドの助成金を活用して、スマートフォンからでもホームページを閲覧したり、商品を購入したりできるように改良。さらに来年度は展示会などに出展し、販路拡大に力を入れていく考えだ。


珠洲の海水塩「sale(サーレ) 」の写真珠洲の海水塩「sale(サーレ) 」
写真手前はsaleブランドの試作品。よしずに海水を噴霧しながら少しずつ水分を蒸発させ、塩分濃度を高めた“かん水” を作り、これを釜で煮詰める「流下式塩田製塩法」で作った海水塩を能登産食材などで色付けした。写真奥は以前開発した藻塩や桜塩、竹炭塩で、saleブランドで発売時にはパッケージが一新される。

成功のエッセンス
  • 海水塩に色付けして付加価値をアップ
  • 可能な限り能登産素材にこだわって加工
  • ラインアップを拡充して訴求力を向上​

企業名

有限会社新海塩産業​
住所珠洲市長橋町15-18-11​
TEL0768-87-8140​
事業内容海水塩の製造販売​​
設立平成14年10月​