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異素材つなぐ“ねじ切り加工” に磨き 伝統工芸×工業製品で新商品続々 ~たにてる工芸

印刷用ページを表示する更新日:2017年12月22日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2017.AUTUMN|VOL.03

CASE 04 たにてる工芸

谷口さん親子の写真

木は一つ一つ性格が違って、湿度で伸縮するなど加工が難しい。
だから最後は必ず手で確認するんです。​

【活性化ファンド採択メニュー】
平成23年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)
平成25年度 産業化資源活用事業(海外展開支援)

異素材つなぐ“ねじ切り加工”に磨き 伝統工芸×工業製品で新商品続々

コーヒーミルやステンレスボトル 木の温かみが消費者に好評

総売上の30~40%にまで成長

トイ・グリップとステン レスボトルの写真 たにてる工芸では、山中漆器の木地制作で培ってきた「ろくろ挽き」の技術と精度の高いねじ切り加工の技術を生かし、樹脂や金属、ガラスといった工業製品と組み合わせて使う木工品を開発した。
 現在までに市販されている製品は4種類で、最初に開発したのが「トイ・グリップ」という木製の持ち手だ。内側にはねじ切り加工を施してあり、ペットボトルの口にねじ込んで固定できるようになっている。鈴や豆などをペットボトルに入れると、幼児が遊ぶガラガラになるというアイデア商品だ。素材にはブナやケヤキを使用し、塗装には天然のエゴマ油だけを使っているので、幼児がなめても安全だ。
 その後、魔法瓶メーカーのSUSgallery(新潟県燕市)と連携したステンレスボトル用のコップ、コーヒー機器メーカーのカリタ(横浜市)と協力して開発したコーヒーミル用のボディ、食材などを保存するためのガラス瓶用のキャップなどを製造している。
 木工品と工業製品を組み合わせたこれらの商品は「MokuNeji(モクネジ)」ブランドで展開し、日本橋三越本店や東武百貨店池袋店、伊勢丹新宿店など全国約80店舗に加え、オンラインショップ35店舗にも販路が広がっている。
販売数は年を追うごとに増え、昨年の出荷数はトイ・グリップが1,000個、ステンレスボトル用コップが2,000個、コーヒーミル用ボディが500 個、ガラス瓶用キャップが1,000個となった。同社の売り上げの30~40%をMokuNeji関連アイテムが占めるまでになり、経営を支える大きな柱に育っている。

寸法精度、木の伸縮がハードルに

 たにてる工芸がMokuNejiブランドの商品開発を手がけたきっかけは平成23年にコンピュータ制御の切削機を導入したことだった。常々、「ライフスタイルが変化し、伝統的な漆器が売れないので、何か他社の作っていないような新商品を開発したい」と考えていたという谷口照知代表。息子の龍人さんと天平さんが北陸先端科学技術大学院大学に通って、新型切削機の性能をフルに生かすため、CAD/CAMを使った設計や制御プログラムの作成について研究を重ねた。試しに木工品にねじ溝を切って展示会に出品したところ、東京で活躍するデザイナー・古庄良匡さんの目に留まり、共同での商品開発がスタート。デザインや試作開発には活性化ファンドの助成金を活用した。
 「こんなものが本当に売れるのか」と半信半疑だった谷口代表だが、第一弾のトイ・グリップも、続けて発売したステンレスボトルも展示会で紹介するとすぐに注文が舞い込む人気ぶりだった。
 とはいえ、すべてが順風満帆というわけではなかった。例えば、ステンレスボトル用のコップの場合、当初はボトルにうまくはまらず、返品が何百本にも上った。原因はコップを製造する石川と組み付けて販売する東京の湿度の違いだった。それによって木がわずかに伸縮してしまったのだ。
 たにてる工芸ではろくろで粗加工を施した後、コンピュータ制御の切削機で加工し、最後に再び手作業で仕上げるという方法で、0.1ミリ単位の寸法精度を実現するが、加工後に木が伸縮してしまっては台無しだ。そこで、同社では材料の木目部分にあって水分を通す役割を担っている導管をウレタン樹脂でふさぎ、木の伸縮を防ぐことに成功した。ウレタン樹脂による塗装は特別新しい方法ではないが、真空状態で全体にまんべんなく含浸するようにして、その効果をアップさせたのだ。

今までにない商品を作りたい

手作業と機械加工の技術 を組み合わせて作ったねじ溝の写真

 たにてる工芸のねじ切り加工の技術は年々進化している。好例と言えるのが、コーヒーミルのボディで、これには「三条ねじ」という形状が用いられている。通常のねじはぐるぐると何回も回さなければ開け閉めできなかったが、三条ねじは一回転する間に移動する距離が長いため、素早く開閉できるようになっている。
 谷口代表は「息子たちが研究してノウハウを積み重ねてきた賜物です。何日もパソコンと向き合って図面を引いて、試作して、うまくいかなかったらやり直して。そんなことを何度も繰り返すことで技術を磨き上げてきましたから、仮に同じ切削機を導入したとしても決してまねできないと思います」と胸を張る。
 国内だけでなく海外にも販路を広げようと平成25年度には再び活性化ファンドの採択を受け、販促活動に取り組み、日本製の商品に特化したマレーシアの店舗やシンガポールのオンラインショップでも取り扱いが始まり、少しずつだが販売実績も積み上がっている。今後はフランスなどヨーロッパでの販路開拓も視野に入れている。
 今年はノベルティグッズを作ってほしいという企業のニーズに応えるため、ロゴマークやキャラクター等を彫刻できるレーザー加工機を導入した。谷口代表は今後、MokuNejiブランドの商品ラインアップをさらに拡充させるほか、ろくろ挽きの技術とコンピュータ制御の切削機やレーザー加工機を組み合わせて、「こんな商品は今までになかったと消費者を驚かせるようなものを開発していきたい」と意欲を見せている。


MokuNejiブランドの コーヒーミルとガラス瓶の写真MokuNejiブランドのコーヒーミルとガラス瓶​
ろくろ挽きの技術で持ちやすさと安定性、プロポーションの美しさを実現したコーヒーミル。本体中央部分は三条ねじ構造となっており、ワンタッチで開閉できる。機械部分はコーヒー機器メーカー・カリタが製造する。ガラス瓶はコーヒー豆やパスタ、菓子などを保存しておくのにぴったりだ。

成功のエッセンス
  • 木工品と工業製品を組み合わせた新規性
  • 木の質感を生かした感性に響く商品開発
  • 伝統技術と最新機器を駆使して品質向上​

企業名

たにてる工芸​​
住所加賀市山中温泉滝町ホ199-1​
TEL0761-78-5880​
事業内容山中漆器の木地制作、木工製品の制作​
創業昭和48年​