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デザイン企画力で九谷焼再生伝統工芸品を身近な存在に ~マリブデザインファクトリー

印刷ページ表示 更新日:2017年12月22日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2017.AUTUMN|VOL.03

CASE 06 マリブデザインファクトリー

藤田愛二代表の写真

デザイナーの視点で、
九谷焼の素晴らしさを世界中の人に伝えたい。​

【活性化ファンド採択メニュー】
平成22年度 産業化資源活用事業(小規模事業者支援)
平成27年度 産業化資源活用事業(商品魅力向上支援)
平成28年度 産業化資源活用事業(小規模事業者支援)

デザイン企画力で九谷焼再生伝統工芸品を身近な存在に

作家が描いた236種類の絵柄が魅力 ボールマーカーがゴルファーに人気

本物志向のユーザーに好評

ボールマーカーとクリップのセットの写真 マリブデザインファクトリーが7年前から企画・販売する伝統工芸ブランド「彩華- SAIGA -」が、本物志向のユーザーを中心に人気を集めている。商品分野はスポーツやファッションなどで、開発や販路開拓には活性化ファンドの助成金を活用した。
 主力商品はボールマーカーである。これは、ゴルフの際にボールのあった場所を示す目印として使うものだ。直径26.5ミリの円形の生地に、8人の九谷焼作家が一つずつ丁寧に絵付けを施して焼き上げている。九谷五彩を用いて花鳥風月を描いた伝統的な絵柄のみならず、クローバーやライオンなどを題材に現代的な意匠を凝らした絵柄など、230種類がラインアップされている。このほか加賀蒔絵の作家が制作した6種類もある。
 平成22年から首都圏を中心とした百貨店などで販売したところ、初年度は約700個を売り上げた。贈答品としての人気が高く、女子プロゴルファーにも愛用者がいる。2年目以降も順調に売れ続けている。

ネット販売が売り上げの50%

  そもそも、藤田愛二(まなぶ)代表が「彩華」ブランドを立ち上げたのは、「デザインの力で地域に貢献したい」との想いからだ。小松市は、石川を代表する伝統工芸のひとつである九谷焼の産地だが、市場は縮小の一途をたどっている。この現状を打開しようと、プロダクトデザイナーとして商品の企画から開発までを総合的にプロデュースし、販売まで手掛けることにした。
 第一弾として開発したのがボールマーカーで、発売から3年間は、店頭販売に限定し、ネットでは売らなかった。というのも、「彩華」は立体的な盛絵が特徴で、パソコンの画面で見るのと、実物を見るのとでは、印象がまったく違うと判断したからだ。
 だが、売り場の陳列によっては、商品が埋没してしまい、手に取ってもらえないケースも散見されたことから、4年目からネット販売をスタートした。ネットショップのSEO対策はもちろん、作家が手描きした絵柄がユーザーを惹き付ける魅力だと考え、SNSを通して作家の特徴や陶歴、受賞歴を紹介するなど、ユーザーとのつながりを強める仕掛けを用意した。その結果、ネット販売は現在、売り上げの50%を占めるまでになり、大手ゴルフメーカーとのコラボレート商品の展開にもつながっている。
 平成27年には、「マーカーを置いた時の厚みが気になる」というユーザーの声を受け、改良にも取り組み、従来の4.4ミリから3.35ミリに変更した。ところが、1ミリほど薄くしただけで高級感が損なわれたため、マーカーの厚みは従来通りとし、薄い素材はその後、軽さが求められるハットピンやピンブローチといったアクセサリー用の素材として活用している。さらに、帯留めやかんざしなどにも横展開しており、伸びしろのあるファッション分野の商品開発にも注力している。

継続して海外の展示会に参加

鳳凰カップの写真

 一定の評価を受けるようになったゴルフマーカーだが、ゴルフ人口の減少により、国内市場の縮小は避けられない。そのため、同社では5年前から海外展開の道を模索している。ただ、世界でゴルフが盛んな国は少なく、ゴルフ人口は、アメリカ、日本、カナダ、イギリスの4カ国で約70%を占める。そこで、ゴルフ場の数が多いアメリカ、イギリス、フランスといった欧米などの展示会に参加し、販促活動に取り組んだ。
 「伝統工芸品への関心が薄いアメリカでは手応えがありませんでした。一方、フランスは芸術の国だけあって、デザイン性を評価してもらえましたので、これから需要が伸びる可能性があります。そして、最も感触が良かったのはイギリスです。九谷焼自体に興味を持ってもらい、同国最大の日本文化総合博覧会『HYPER JAPAN』でも評判となり、商品の売れ行きも上々でした」(藤田代表)。
 同社が海外展開を進める上で重視しているのが継続性だ。毎年、同じ展示会に参加することで、馴染みのバイヤーも増え、ネットワークが広がっていく。今後は、中国や韓国、タイ、マレーシアなど、アジア諸国の展示会にも積極的に参加していく予定だ。

ステーショナリー分野に注力

 平成28年には再び活性化ファンドの助成金を活用して、埋もれた伝統工芸をリデザインし、現代社会に適した商品を提案する新たなブランド「re:nivaa(レニバ)」を立ち上げた。
 主にステーショナリー商品を扱っており、かつてタンスの取っ手として使われていた陶磁器パーツを富士山のように彩色したペンスタンド、加賀獅子に日本刀に見立てたレターオープナーをくわえさせたものなどを商品化した。
 また、フランスで開催された「Japan Expo 2017」で初めてお披露目した「獅子カップ」と「鳳凰カップ」は、現地でデザイン性の高さが評価された。このカップは「九谷焼の洋食器」をコンセプトにしており、取っ手は獅子の尾と鳳凰の羽をモチーフにしている。彩色は青粒技法の第一人者の仲田錦玉さんが担当し、シックな趣に仕上げている。きん斗雲を模したソーサーと合わせ、今後、ミシュランに掲載された東京・新宿のレストランへの提供を予定している。
 藤田代表は「これまでの『彩華』を充実させるとともに、新たに立ち上げた『re:nivaa』を軌道に乗せ、両ブランドで年商1,000万円を確保したいと考えています。ただ、利益だけを追い求めるのではなく、本当に価値のあるものを送り出したいという気持ちは強いですね」と話し、今後も真摯にものづくりに取り組む考えだ。


「彩華 - SAIGA -」ボールマーカーの写真「彩華 - SAIGA -」ボールマーカー
ステンレス製クリップとのセットで8,640円~。さび防止のために硬質クロームメッキを施している。レザー製クリップとのセットは12,960円~。ボールマーカーの裏側には高品質のネオジム磁石が埋め込まれており、帽子のつばなどに装着したクリップにくっつけて持ち運べるようになっている。

成功のエッセンス
  • 企画から販売まで総合プロデュース
  • 伝統工芸の魅力を最大限に生かす
  • 作家を売り出してブランド力を高める​

企業名

株式会社マリブデザインファクトリー​
住所 小松市木場町イ-150-2​
TEL 0761-43-8261​​​
事業内容 商品の企画・開発、プロダクトデザイン、制作など​​​
創業 平成12年5月​​​

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