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衣類と一緒に洗濯するだけで気になる臭いを除去する特殊な布 ~ウーブンナック(株)

印刷ページ表示 更新日:2018年3月27日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2018.SPRING|VOL.04

CASE 04 ウーブンナック

西弘三社長の写真停止は衰退を意味する。
常に新しいことにチャレンジしていきたい。

【活性化ファンド採択メニュー】
平成26年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)
平成29年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)​

衣類と一緒に洗濯するだけで気になる臭いを除去する特殊な布

非アパレル分野への進出と自社ブランドの確立目指す

3年で8万枚を販売

県工業試験場での実験の様子の写真

 洗濯物に残りやすい加齢臭や汗の臭い、部屋干しした際に気になる生乾きの雑巾のような臭い。こうした臭いを除去してくれるのが、ウーブンナックが開発した洗濯用消臭織り布「デタッチ・ウォッシュ」だ。
 デタッチ・ウォッシュは消臭機能を持った2種類の糸で織ったはがきサイズの布である。使い方は簡単で、衣類と一緒に洗濯機の中に入れて洗うだけ。すると洗濯している最中に、水中に浮遊する臭い成分を吸着、中和し、洗濯物に臭いが残るのを防いでくれ。使い終わった後は乾かして再利用することが可能で、1日1回の使用で2カ月間、効果が持続する。化学物質や薬品を含んでいないため、他の洗濯物を色落ちさせたり、傷めたりすることはなく、子どもやアレルギー体質の人も安心して使用できる。
 平成26年に地元に本部を置くコメヤ薬局から販売をスタートし、その後は東北から九州に至るまでのドラッグストア、ホームセンター、スーパーなどにも販路が拡大。これまでに累計8万枚を販売するヒット商品となっている。

酸性臭もアルカリ臭も中和

 発売前にはモニター調査を実施し、その結果、洗濯後の嫌な臭いが気になる人の95%が効果を実感。購入者にはリピーターが多数を占める。
 では、どのような仕組みで洗濯物から嫌な臭いが消えるのだろうか。衣類に付着している臭いの成分は洗濯中、洗剤の効果によっていったんははがれ落ちるが、一部は再付着してしまい、これが臭いの原因となる。デタッチ・ウォッシュを入れると衣類からはがれ落ちた臭いの成分を特殊な技術によって消臭機能を持たせた糸が吸着、中和してくれるので、臭いがなくなるというわけだ。
 臭いの成分には酸性のものとアルカリ性のものがあり、どちらにも対応できる点も特徴と言える。例えば、酸性臭の代表が履き終えた靴下からする臭いで、その原因はイソ吉草酸という物質だ。デタッチ・ウォッシュには酸性臭を消臭する糸とアルカリ臭を消臭する糸がバランス良く配合されているため、衣類に付着しているさまざまな臭いに対応できる。
 また、部屋干しした際に生じる嫌な臭いの原因はモラクセラ菌だ。これは決して特別な菌でなく、人の口や鼻にも存在する菌で、洗濯物に付着した皮脂や角質を餌として増殖し、ふんのようなものを出すと臭いが出る。デタッチ・ウォッシュでは皮脂や角質を絡め取って、原因菌の増殖を抑えると同時に、糸の抗菌力によって、商品自体で繁殖することも防いでいる。

消臭糸の配合に工夫

 洋服の襟元などに付いている織りネーム(ブランドタグ)を製造する同社が、デタッチ・ウォッシュを開発したいきさつについて、西弘三社長は次のように話す。
 「アパレルの仕事は気候に大きく左右されます。例えば、冬に向けてどれだけいい商品を仕込んでいても、暖冬のため、山のように在庫が残る年もあり、売り上げのアップダウンが激しいのが悩みです。そのため、アパレル以外の分野でも経営の柱を作りたいのです。加えて、自社ブランドの商品を世に送り出したいとの思いもありました」。
 こうした考えから同社ではホルムアルデヒドを吸収、分解する布など、さまざまな機能性素材の開発、発掘に取り組み、その中の一つとしてライセンス供与を受けたのがデタッチ・ウォッシュに使用している消臭糸だった。この糸は空気中の臭いを除去してくれるとの触れ込みだったが、ウーブンナックの社員が試したところ、水中でも効果があることが分かり、商品化に乗り出した。2種類の糸の配合バランスや織り方について研究を重ねたほか、県工業試験場に協力を仰いで消臭効果に対する科学的データを集め、2年をかけて発売に漕ぎ着けた。

交換時期を知らせる機能も

睡眠時無呼吸症候群の治療用マスクの写真

 販路開拓には活性化ファンドの助成金を活用した。展示会への出展、フリーペーパーへの広告出稿のほか、九州・四国で約240店舗を展開するドラッグストアモリ(福岡県)など、人脈を活用した営業活動で取引先を増やしていった。パネルやポップなど店頭用の販促ツール、パッケージの改良などにも助成金が役立った。
 アパレル分野に比べれば、売り上げはまだまだだが、今後は交換時期になったらデタッチ・ウォッシュの一部の色が変わるように改良する。また、平成29年度に再び活性化ファンドの採択を受け、2種類の糸の配合を工夫し、汗の臭いの消臭に特化したスポーツタイプを開発するなどして、「小さくても鶴来から自社ブランドを発信していきたい」(西社長)と意欲を燃やす。
 さらに、西社長は「今の時代、停止は衰退を意味する。常に新しいことにチャレンジしなければ生き残っていけない」と話し、睡眠時無呼吸症候群の患者が治療時に顔に装着するマスクの固定用具として消臭、抗菌、接触涼感といった機能性を持たせたベルトを試作するなど、“脱アパレル”を目指し、商品開発を続けている。


デタッチ・ウォッシュの写真デタッチ・ウォッシュ​​

洗濯物に残る汗の臭いや加齢臭、部屋干しした際の嫌な臭いなどを取り除いてくれる洗濯用消臭織り布。
繰り返し使えて、4、5人家族の家であれば、1日1回の使用で、2カ月間、効果が持続する。
ドラッグストアやホームセンター、スーパーなどで販売している。
1箱1枚入りで630円(税別)。​

成功のエッセンス
  • 潜在的な消臭ニーズに応える商品開発
  • 糸の配合や織り方を工夫し性能をアップ
  • 県工業試験場で科学的に効果を実証

企業名

ウーブンナック株式会社​
住所 白山市鶴来本町4丁目リ72
TEL 076-272-0870
事業内容 織りネーム、機能性素材の製造​
設立 昭和43年1月​

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