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マウスの素早い動きに対応。ゲームファンの口コミで人気に ~(株)出口織ネーム

印刷用ページを表示する更新日:2018年3月27日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2018.SPRING|VOL.04

CASE 06 出口織ネーム

出口勉社長と狭間則宏さんの写真これまでに織ったことがないマウスパッドだから
挑戦しがいがありました。​​

【活性化ファンド採択メニュー】
平成25年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)
平成29年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)​

ゲームのプロが愛用する高性能なマウスパッドを開発

マウスの素早い動きに対応 ゲームファンの口コミで人気に

出荷数が3倍に増加

 ジャガード織の織りネーム(ブランドタグ)を主力とする出口織ネームは、顧客のニーズに合わせてさまざまなオリジナル商品を開発している。中でも、同社の優れた技術によって誕生したマウスパッドは、プロやゲーム愛好家の間で高評価を得ている。
 近年、シューティングゲームをはじめとした複数のプレーヤーで対戦するコンピューターゲームは、世界大会が開催されるほど人気があり、e-Sports(エレクトロニック・スポーツ)としてオリンピック種目への採用も検討されている。勝利に向け、プレーヤーがこだわるアイテムの一つが高性能なマウスパッドだ。
 同社の布製マウスパッド「疾風(はやて)」は、ゲーム用マウスパッドを世界に向けて販売する「Artisan(アーティサン)」(兵庫県)と共同開発した。マウスの素早い操作が必要なゲームに対応できるよう「速く動かす」「軽く滑る」「正確に止める」の3つの性能を高いレベルで実現。また、素早くマウスを動かすとセンサーが正確にパッドを読み取れないことで動作不良を起こす「トラッキング不良」を他社製品よりも低く抑えた。
 疾風は、平成26年からArtisan のホームページや大手通販サイトなどで販売を開始した。他社製品より値段は高いものの、購入したユーザーからは「初速が速く、滑らか」「マウスが止めたい時に止まる」と評判がよく、口コミで販売数が徐々に伸びていった。
 また、同年の東京ゲームショウでお披露目したところ、パソコン製品を扱う量販店のバイヤーや卸問屋の目にとまり、実店舗での取り扱いも拡大した。出荷数は現在、初年度に比べて約3倍に増えているという。

動作不良を徹底的になくす

織りパターンの試作データの写真 これまで出口織ネームでは、マウスパッドを製作した経験はなかったが、Artisan からの依頼を受け、「織れるものならば何でも織ってみる」というモットーの下、開発にチャレンジした。特に苦労したのがトラッキング不良だ。マウスのセンサーは、マウスパッドの布の縫い目が規則的だと、縫い目の違いを認識できず、マウスが移動したと感知できないことがある。そこで、糸の太さや撚(よ)りに違いをつけたり、縫い目をランダムにしたりするなど工夫し、でき上がった生地は、実際にマウスを動かしてテストした。試行錯誤の結果、不良率は徐々に改善し、約1%にまで抑えることに成功した。
 その後、マウスの滑り具合をより滑らかにし、止めやすくした「疾風乙」を商品化。出口勉社長は「膨大なデータの元に布製マウスパッドは完成した。糸の選定から織りパターンのプログラミングまで考え抜いた生地であり、他社が同じ物を作ることは不可能」と出来栄えに自信を見せる。

100通りの模様が織れる

さまざまな九人の機械を組み合わせて独自に生み出した機械の写真 1枚の生地の中で「織りパターンを細かく変更できる」というマウスパッドで培った技術は、その後、多品種少量生産で力を発揮した。
 例えば、平成27年からサービスを開始した池上實相寺(東京都)の「OMAMO(おまも)」は、オーダーメイドできるポップでかわいいお守りとして話題を集めている。願いや悩みに合わせて同寺が絵柄を選び、購入者が色を決める。お守りの上下で絵柄と色が一人一人異なる注文に対応している。また、パナソニックが採用した布製自動認識コード「カラービット®」では、認識に必要な色糸で多彩なデザインを表現している。
 このような商品を受託生産できるのは、同社に1枚の生地を縦横10のエリアに分けて、100通りの模様を織る技術力があるからだ。出口社長は「培ってきた技術が時代にマッチしてきた。今後もニーズは増えていくだろう」と話す。​

機能性製品の開発に着手

  さらに、同社では、平成28年にレピア織機を導入したのを機に、活性化ファンドを利用して新たな機能性製品の開発に取り組んでいる。この織機は、今まで使えなかった糸を使用できることから、現在はさまざまな糸を試して商品化を模索している段階だ。一例を挙げれば、大手繊維メーカーの超極細糸で、メガネやスマートフォンのガラス面を拭くクリーナーの開発を検討している。
 もちろん、マウスパッドの新規素材についても、あらゆる角度から研究を重ねており、さらに操作感に優れた商品の開発に余念がない。同社の狭間則宏さんは「2024年のパリオリンピックにe-Sportsが競技として採用されれば、オリンピックを目指すゲーム愛好家は爆発的に増えると予想される。大手メーカーが参入を本格化する前に、マウスパッドのブランド力を強化しておきたい」と強調する。
 同社の強みは、さまざまな機械を組み合わせて新たな生地を生み出す技術力と、自ら考えて困難に挑む社員がいることだ。この2つの武器を手に、これからも同社は、石川の地から織物のイノベーションを起こしていく。


マウスパッド「疾風(はやて)」の写真マウスパッド「疾風(はやて)」​

ゲーム専用のマウスパッド(2,980円~/税込み)。
出口織ネームだから実現できたパッドの表面は、ゲーム愛好家の間で「マウスの操作性を劇的に変えた」と言われるほど。
ゲームでの利用だけでなく、長時間、マウスを使うユーザーからも支持されている。

成功のエッセンス
  • 無理だと考えずにまず挑戦する
  • 妥協せずに最後までやり遂げる
  • 顧客の要望に応えられる技術を磨く

企業名

株式会社出口織ネーム​
住所白山市鶴来本町4丁目チ25番地
TEL076-272-3232
事業内容ジャガード織物の製造・販売
創業昭和25年5月​