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北限の国産イ草を新しいカタチでより身近に ~宮本農産

印刷用ページを表示する更新日:2018年3月27日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2018.SPRING|VOL.04

CASE 07 宮本農産

イ草農家の宮本健一代表の写真時代の流れは変えられないが、
新しいことを始めれば明るい道が開けるはず。​​​

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平成25年度 農商工連携事業(ビジネスモデル構築支援)

北限の国産イ草を新しいカタチでより身近に

ストーリー性が注目集め販路を拡大

畳表と異なる新たな用途

 畳表の材料となるイ草の産地の中で、北限となるのが小松市だ。小松では、約550年前にイ草の栽培が始まり、昭和30年代まではイ草を生産する農家が約1,400軒もあったが、現在では宮本農産が唯一となった。その宮本農産が、平成25年に活性化ファンドの助成金を活用して開発したのが、畳表にならない規格外のイ草を用いた「イ草縄」と、畳表を有効活用した「敷物」である。
 イ草と麻糸をより合わせた「イ草縄」は園芸用で、丈夫なだけでなく青々としたイ草の美しい光沢が特徴だ。平成27年からは兼六園で台風接近時に園内の木を固定するために使用されている。ちなみに、その隣、金沢城公園玉泉院丸庭園にある玉泉庵の畳も小松イ草を編んだ小松畳だ。
 「敷物」は37×26センチメートルの大きさで、ランチョンマットとして使えるだけでなく、和のしつらいを演出するコンパクトなインテリアにもなる。いずれも、これまでの畳表とは違うイ草の利用法であり、新たな販路を切り開くきっかけになった商品だ。

規格外品を商品に再生

製造風景写真1 宮本農産がこれらの商品を開発した理由は大きく二つある。
 一つは小松イ草やイ草に消費者が触れる機会や知るきっかけを増やしたいという思いである。畳敷きの和室は減っているが、現代の生活スタイルに合わせ商品を開発することで、イ草の魅力を伝えようというわけだ。そのため同社では畳や家具の製造会社、フラワーコーディネーターやデザイナーと連携して「小松イ草拡大プロジェクト」を結成。活性化ファンドで開発した以外にも、洋間に敷けば簡単に畳コーナーを作ることができる「置きたたみ」、ベンチのように腰掛けられる「畳ベンチ」などを商品化し、イ草の普及と新市場の開拓に力を注いでいる。
 もう一つは、規格外品の小松イ草だ。宮本農産が毎年収穫するイ草は約6,500キログラムに及び、このうち畳表の材料として使えるのは長さ105センチメートル以上のものだけで、その歩留まりは75~80%にとどまる。規格外品のうち、長さが80センチメートル以上あるものは菓子を包装するひもとして和菓子店に卸しているが、それでも大量に残ってしまう。製造風景写真2そのため、残りは、倉庫に保管して乾燥させた後に細かく刻み、堆肥として田んぼや畑にすき込むのだが、1,000キログラムを超えるため、一連の作業は家族経営の宮本農産にとって大きな負担となっていった。
 さらに、畳表の歩留まりもイ草とそう変わらず、完成した畳表に傷や虫食いのあるイ草が折り込まれていると、それだけで商品としての価値がなくなる。「敷物」は、この畳表のうち、傷や虫食いのない部分を使って商品化したわけだ。

渋谷で開かれたイベントで脚光

渋谷ヒカリエのd47 MUSEUMで展示されたイ草製品の写真 販路開拓のきっかけとなったのは、渋谷ヒカリエ内のミュージアム「d47 MUSEUM」が平成26年12月から開催した企画展『P to P STORE Problem to Product Exhibition Store-47 都道府県の地域問題から生まれた製品-』への出展だった。宮本農産のホームページが主催者の目に留まり、出展依頼が舞い込んだのだ。
 企画展には、「小松イ草拡大プロジェクト」として出展し、そこで展示したイ草製品が“日本の北限”“小松市で最後のイ草農家”“ 伝統を継ぐため就農した20代の代表” といったストーリー性から大きな注目を集めた。
 これを契機に業界紙だけでなく、全国紙、雑誌でも宮本農産と小松イ草がたびたび取り上げられるようになり、問い合わせと視察が一気に増えた。小松サイエンスヒルズで開催した小松イ草フェアの様子の写真出展前の秋に始めたイ草刈り取り体験も、翌年は業界関係者の参加が地元の参加者の倍になったほどだ。
 平成27年11月には、小松サイエンスヒルズでイ草の魅力をPRする「小松イ草フェア」を開催し、和田愼司小松市長も参加するなど、地元での知名度も上がってきている。​

現状は厳しくても続けたい

  現在、「イ草縄」は年間800 キログラムを製造、売り上げも右肩上がりに伸び、これまでならば廃棄するしかなかった規格外のイ草が新たな収益源となっている。イ草関連商品が収益に占める割合は20%ほどに拡大し、事業の柱として成長しつつある。「米に比べてイ草は栽培に手間がかかる上、機械化も遅れていて生産性が非常に悪いんです。そんな中でもイ草を続けているのは、一度途絶えると復活は難しいためで、先人たちがつないでくれた伝統をしっかりと守っていきたいと思います」(宮本健一代表)。
 農機メーカーが撤退を検討するなど、イ草業界の見通しは厳しいが、それでも宮本代表は、「ホームページの活用やイベントの開催など、業界が取り組んでこなかったことは多いし、栽培や製造工程でもまだ工夫できる余地はあります」と前向きに話す。新商品が好調とはいえ、小松イ草をどのように残していくか、宮本代表の今後の取り組みに期待したい。


小松イ草の縄と敷物小松イ草の縄と敷物​​

イ草が発する芳香成分にはリラックス効果があり、じめじめする季節には湿気を吸い、乾燥する季節にはほどよい湿気を放出する。
昔ながらの天然の泥染めで、耐光性に優れ、色があせにくいのも特徴だ。

成功のエッセンス
  • 規格外の原料を使い新商品開発
  • 東京のイベントで注目集め、知名度アップ
  • PR イベントを自主開催

企業名

宮本農産
住所小松市白江町タ413
TEL0761-22-4696
事業内容イ草の栽培、畳表の製造、米の栽培・販売
創業大正初期​