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奥能登伝統の揚げ浜塩を使いスイーツやドリンクを商品化 ~(株)Ante

印刷用ページを表示する更新日:2018年12月6日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2018.AUTUMN|VOL.05

CASE 01 Ante

中巳出理社長の写真伝統と言っても守るだけではだめ。
進化しないと続きませんから。

【活性化ファンド採択メニュー】
2011年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)
2014年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)

奥能登伝統の揚げ浜塩を使いスイーツやドリンクを商品化

地域活性化を目指し塩田やカフェも整備

土産品のトップ5に

 奥能登に500年以上にわたって受け継がれる揚げ浜式製塩法。この伝統的な技術で作られた揚げ浜塩を使ってAnteが開発したのが「能登のしおぜり一」と「金箔しおシャンメリー」だ。
 能登のしおぜりーは、ほんのりと塩味を効かせた甘みの透き通ったゼリーに、イルカやペンギン、カメなどの真っ白なシルエットが浮かぶ涼しげなスイーツである。シルエットは当初、イルカだけだったが、活性化ファンドの助成金を活用して9種類にラインアップを拡充。「海のなかま」シリーズと名付けて水族館の士産品として販売した。金箔しおシャンメリーの写真京都水族館、すみだ水族館では1,000アイテム以上の上産品の中で売り上げトップ5に何度もランクインする人気ぶり。次々と新商品が登場し、入れ替わりの激しい土産品売り場では異例のロングセラーとなっている。
 その後、金魚や風鈴など、さらに種類を増やし、県内の道の駅、高速道路のサービスエリアなどにも販路を拡大している。
 一方、金箔しおシャンメリーは揚げ浜塩と伝統的な製法で作られた金箔を使ったきらびやかな炭酸飲料だ。こちらも活性化ファンドの後押しを受けて出展した展示商談会を通じて、東京のギフトショップなどへ販路を広げ、売り上げを伸ばしている。

子どもに愛される商品を

 地元の農産物や伝統技術を利用した商品開発を通じて地域活性化に貢献することを企業理念に掲げるAnteが、奥能登の揚げ浜塩に精目したのは約10年前にさかのぼる。
Anteが珠洲市内で整備した塩田の写真 当時は能登を舞台にしたNHKの連続テレビ小説の放送前で、まだまだ認知度が低かった揚げ浜塩に魅力を感じ、 「全国に発信したい」と考えた中巳出理(なかみでり)社長が、 「高級料亭で使われているだけでは、なかなか広まらない。もっと若い人になじみのある商品にしよう」と、2009年に企画、製品化したのが 「しおサイダー」だった。
 その後、「子どもたちにも愛されるものを」とサイダーよりもさらに若年層をターゲットに2011年に開発したのが能登のしおぜりーである。 発売後は小さな子どものいる家族連れはもちろん、カップル、若い女性がブログやSNSで取り上げたことで評判が広まり、その食べやすさでお年寄りからも人気を集めた。
 さらに、北陸新幹線の開業に合わせ、県内で開かれるパーティーやセレモニーの乾杯に使ってもらおうと2015年に発売したのが金箔しおシャンメリーだ。 日本人だけでなく、金を好む中国人からも好評で20本、30本とまとめ買いする人もいるという。

技術を継承し、 景観も再生

地元の特産品を使ったメニューが充実する「しお・CAFE」の写真 Anteではゼリーとシャンメリーのほか、 ポテトチップスやチョコレート、飴など、揚げ浜塩を使った商品を次々と開発。2014年には珠洲市内で揚げ浜塩を生かしたメニューを提供する 「しお・CAFE」をオープン、2017年にはカフェの近くに約2,000平方メートルの塩田を備えた揚浜式製塩施設を整備し、塩作りにも乗り出した。
 中巳出社長がここまで揚げ浜塩に情熱を注ぐ根底には、伝統を絶やしたくないとの思いがある。揚げ浜式で塩作りをしている職人には高齢者が多い。 このままでは将来が危ぶまれると、Anteでは30代の社員に伝統的な技術を受け継がせ、いつかは、「かつて珠洲の外浦で見られた海沿いに塩田が広がる独特の景観を再生したい」と未来図を描く。
 また、 自然志向、健康志向の高まりを受け、工場で機械的に大量生産された塩だけでなく、昔ながらの方法で作ったミネラルたっぷりの塩を消費者が選べるようにしたいとの考えもある。
 従来から得意としてきた商品の企画・開発に加え、塩田での塩の製造、情報発信に有力なカフェの運営と事業領域が広がり、中巳出社長は「奥能登の活性化に貢献できる態勢がようやく整った」と話す。

にがりや灰の利用も

 塩分濃度を上げた 「かん水」を釜で煮詰める工程では、里山から切り出したコナラの間伐材を薪として使う。 その分、コストは高くなるが、適度に森を手入れした方が能登の里山里海を守ることにつながるからだ。
 「伝統を守っているだけではだめ。進化させなければ続かない」(中巳出社長)と時代に合わせた見直しも怠らない。例えば微細なプラスチックによる海洋汚染を考慮し、Anteでは塩作りに使う海水を二重のフィルターでろ過し、1μm以上の大きさの異物を取り除いてから使用する。
 今後は揚げ浜塩を使った商品開発に引き続き注力するほか、塩を作る際にできる「にがり」やコナラの灰も活用するなど、廃棄物を最小限に抑え、資源として循環利用するビジネスモデルを追求する。
 能登の里山里海を次世代へ。 中巳出社長率いるAnteの取り組みもその大きな後押しになりそうだ。


能登のしおゼリーの写真能登のしおぜり一​​

船舶用の窓をイメージしたドーム型のゼリーにイルカやペンギン、カメ、シロクマなど、海の生き物たちの愛らしいシルエットが浮かぶ(1個237円)。当初は水族館にターゲットを絞って営業をかけ、2012年にオープンした京都水族館とすみだ水族館、地元のとじま水族館などに採用された。3個入り(648円)、9個入り (2,160円)もある(すべて税込み)。​

成功のエッセンス
  • 販路を見据えてラインアップを拡充
  • 地元の農産物や技術を組み合わせて魅力をアップ
  • 商品開発だけでなく原料の製造、情報発信にも注力

企業名

株式会社Ante(アンテ)
住所加賀市篠原新町1-162
TEL0761-74-8002
事業内容商品開発事業、観光・地域活性化事業、揚げ浜式製塩事業など
設立2009年5月​