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北陸初のトンネル貯蔵に挑戦熟成進み、味わいまろやかに ~宗玄酒造(株)

印刷用ページを表示する更新日:2018年12月6日更新

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2018.AUTUMN|VOL.05

CASE 03 宗玄酒造

徳力暁社長の写真熟成させたまろやかな味を
ぜひ試してほしいですね​。

【活性化ファンド採択メニュー】
2012年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)
2017年度 産業化資源活用事業(海外展開支援)

北陸初のトンネル貯蔵に挑戦熟成進み、味わいまろやかに

ヨーロッパ向けの日本酒 イタリアの審査会で最高賞

年間通して12℃前後

 宗玄酒造が活性化ファンドのサポートを受けて開発したのはトンネル内で貯蔵、熟成させた日本酒である。
 トンネルは2005年に廃線となった「のと鉄道能登線」で約40年にわたって使われていたもの。全長130m、幅4m、高さ5mのトンネルのうち、中央部の80mを貯蔵庫として整備し、「隧道蔵(ずいどうぐら)」と名付けた。トンネル内部は年間を通して日本酒の熟成に適した12℃前後に保たれている上、品質を劣化させる光が差し込むこともない。「一定の温度でじっくりと熟成させることで角がとれ、飲みやすくまろやかな味になる」。そう笑顔を見せるのは同社の徳力暁(とくりきさとる)社長だ。
 蔵の名前を冠した新銘柄の日本酒は、同社に併設した販売店や県内の酒店、JR金沢駅などで販売し、毎年安定した売れ行きをみせている。
 また、販促策の一環として発売と同時に発足させたのが「隧道蔵オーナー倶楽部」だ。これはトンネル貯蔵酒6本以上を購入し、年間 1,080円の維持管理費を支払うと、何年でも好きな期間、隧道蔵で日本酒を貯蔵しておける仕組みである。熟成による風味の変化を楽しもうと、2013年の発売以降、オーナー数は年々増加しており、今では累計約220人を数える。旅行口コミサイトで紹介され、旅の記念にとオーナーになる外国人客もいる。

二重の木製扉が結露防ぐ

 「最近は新酒の人気が高いが、いい造りの日本酒は熟成した方がおいしい。熟成酒を新たなラインアップに加え、その魅力を伝えたい」。トンネル貯蔵酒の出発点となったのは、徳力社長のそうした思いだった。また、東日本大震災を踏まえ、電気を使わず、津波にも強い高台のトンネルを貯蔵庫として使えば、災害時のリスク分散につながるとの考えも事業化を後押しした。
 トンネルでの貯蔵は北陸初の取り組みだが、全国ではいくつかの事例があり、これらを視察して蔵を整備する際の参考とした。例えば、トンネルの両端をふさぐ扉について、他社では鉄製扉を採用していたが、宗玄酒造では木製扉を採用し、かつ二重にした。これは外気との温度差で蔵の内部に結露が発生するのを防ぐためだ。
 こうした先行事例の視察、ラベルやパッケージのデザイン、PR用パンフレットの作成には活性化ファンドの助成金を活用した。

トロッコ鉄道も人気に

トロッコ鉄道のマスコットキャラクター「のトロ」をデザインしたラベルの貯蔵酒の写真 ところで、トンネル貯蔵酒の中でも土産用のものには、愛らしいキャラクターがあしらわれている。このキャラクターは隧道蔵と合わせて整備された「奥のとトロッコ鉄道」のマスコット「のトロ」である。
 奥のとトロッコ鉄道は「せっかくならばトンネルの向こう側に広がるきれいな景色を観光資源として生かしたい」(徳力社長)とレールを再敷設し、電動アシスト付きの足こぎ式トロッコで走れるようにしたものだ。隧道蔵から旧のと鉄道恋路駅までの約270mを走行できるようになっており、眼下に恋路海岸を一望する景色を楽しめる。
 開業した2013年以降、北陸新幹線の開業効果もあって、着実に利用者数が増え、昨年度は約 4,500人が乗車。奥能登の新たな観光スポットとして人気を集めるほか、酒蔵への誘客、新たなファン層の開拓にもつながっている。
 日本酒のトンネル貯蔵やトロッコ鉄道事業といった取り組みは、奥能登エリアの活性化に寄与すると評価され、2013年のグッドデザイン賞に選ばれている。

欧州6カ国に販路

純米酒「Sword of Samurai(ソード・オブ・サムライ)」の写真 こうした取り組みに続き、宗玄酒造では2017年から再び活性化ファンドの支援を受け、ヨーロッパ市場の開拓に挑戦している。
 「和食がブームになっているとはいえ、ヨーロッパで食中酒と言えばやはりワインが主流。また、中国製の粗悪な日本酒が多いため、おいしくないと思っている人も多い。そのイメージを払拭し、食事とともに楽しめる本物のおいしい日本酒を広めたい」(徳力社長)。
 切り込み役として開発したのが「Sword of Samurai(ソード・オブ・サムライ)」だ。これは石川県オリジナルの酒造好適米「石川門」を使用した純米酒で、現地の料理に合うよう、味わい深く酸味が強く感じられるよう工夫した。
パリで開催された展示会「Salon du Sake」の会場の様子 2018年5月に開かれたイタリア最大のワイン展示会「ヴィニタリー」の日本酒審査会では5つ星の最高賞を受賞。同年10月にパリで開催された展示商談会「Salon du Sake(サロン・デュ・サケ)」でも好評を得た。現地で日本酒ソムリエを養成するため、社員を講師として派遣するなど、日本酒の普及に向けて手を尽くしている。
 現在、イタリアやフランス、ドイツ、スペイン、デンマーク、イギリスの有名レストランで採用されるなど、滑り出しは順調だ。徳力社長は「将来、取扱量が増えれば現地で熟成させたい」と話し、ヨーロッパ市場でも熟成させた日本酒の普及を目指している。


隧道蔵の写真隧道蔵​

1年を通して12℃前後に保たれるトンネル内で1年以上熟成させた日本酒「隧道蔵」。純米酒、本醸造原酒、本醸造、剣山があり、写真は一番人気の純米酒(720ml/1,700円 /税込み)。バックに見えるのはトンネルを活用した蔵の内部。6本以上を購入、貯蔵するオーナーはいつでも蔵の中を見学することができる。​

成功のエッセンス
  • 新たな味わいを引き出す個性的な貯蔵法
  • 好みで熟成可能なオーナー制度で顧客開拓
  • レジャー施設との相乗効果で酒蔵に誘客

企業名

宗玄酒造株式会社
住所珠洲市宝立町宗玄24-22
TEL0768-84-1314
事業内容日本酒の製造、販売
創業1768年​