ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 石川産業化資源活用推進ファンド事例集 ViVO > 将来の成長エンジン創出へ 弁当箱をアメリカ市場で販売 ~(株)竹中

本文

将来の成長エンジン創出へ 弁当箱をアメリカ市場で販売 ~(株)竹中

印刷ページ表示 更新日:2018年12月10日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2018.AUTUMN|VOL.05

CASE 06 竹中

竹中俊介社長の写真一気に認知度は上がりません。
海外展開は根気のいる仕事です。

【活性化ファンド採択メニュー】
2012年度 産業化資源活用事業(海外展開支援)

将来の成長エンジン創出へ 弁当箱をアメリカ市場で販売

粘り強く展示商談会に出展 認知度アップにつなげる

4年目から売り上げが安定 

 山中漆器を製造、販売する竹中は、活性化ファンドへの採択をきっかけに、主力商品である弁当箱の販路をアメリカへと広げている。
 弁当箱はPET樹脂にウレタン塗料で塗装したいわゆる近代漆器で、「BENTO BOX」の商品名で販売している。2012年の取引開始以降、アメリカ市場に合わせてサイズや形状、カラーバリエーションの見直しを重ね、現在は1段タイプを2種類、2段タイプを3種類展開する。日本と違って、柄やイラストが描かれた弁当箱は敬遠されるため、すべて無地で、それぞれ12~15色をそろえている。
 当初3年間の売り上げは横ばいだったが、弁当箱に対する認知度が上がると同時に、大手の生活雑貨専門店での取り扱いが始まったことから、4年目、5年目には売り上げが安定し、軌道に乗りつつある。

年3回、現地でPR

ニューヨークで開かれた展示商談会の様子。写真 同社が海外展開に取り組んだのは、長い目で見ると人口減少、少子高齢化などによって国内消費がマイナスになるため、事業を発展させるには、新たな販路が必要と考えたからだ。
 拡販に向けては、ニューヨークとシカゴで開かれる生活雑貨の展示商談会に年3回出展している。アメリカでは日本のような弁当箱は一般的でなく、サンドイッチを食品保存用の容器や袋で持参する人が多い。弁当箱そのものがほとんど認知されていない状況からのスタートだったが、思ったような成果が得られなくても、毎年粘り強く出展を続けることで、バイヤーや消費者への浸透を図った。
 また、バイヤー向けに商品を紹介するホームページを開設したほか、東海岸と西海岸に一カ所ずつ在庫管理の拠点を設け、現地企業に商品管理を任せることで、広大なアメリカの各地にスピーディーに納品する態勢を整えた。
 新たな市場を創造するにはブランディングも重要と考え、「TAKENAKA」をアメリカで商標登録し、商品にもロゴを表示するようにした。竹中俊介社長は「当初考えていたほど簡単ではなかった」と苦笑いするものの、今では「TAKENAKAと言えばBENTO BOX」という認知が広がり、アメリカ市場における弁当箱ブランドとしてのポジションを確立している。

SNSの影響力を実感

 アメリカ市場を開拓するための商品開発や展示商談会への出展には、活性化ファンドの助成金を活用した。
 竹中社長は「活性化ファンドが海外展開のきっかけを作ってくれた。これを足がかりにさらに販路を広げていきたい」と話し、2015年からはヨーロッパ市場にも挑戦。パリとフランクフルトで開かれる展示商談会に年3回出展し、現在はフランスやベルギーでもBENTO BOXの取り扱いが始まった。このほか、アメリカの展示商談会を糸口に中国市場でも同社の弁当箱が販売されている。
弁当箱の遣い方を提案するために作ったアメリカ向けの盛り付け見本の写真 海外での売り上げをさらに伸ばそうと今後力を入れるのが、デジタルマーケティングの強化だ。「カナダで有名な大学生ユーチューバーが取り上げてくれたんです。すると有力店からの注文が増え、SNSの影響力を実感しました」。竹中社長はそう話し、今後、ウェブやSNSの活用にも戦略的に取り組む。
 商品ラインアップについても拡充を図り、今後は弁当箱を持ち運ぶバッグや飲み物を入れるボトルなども、統一したデザインで展開する計画だ。

ロボット塗装工場を新設

 竹中社長は今後の海外市場について、「フォローの風が吹き、弁当箱のニーズが高まっていく」と見通しを示す。 フォローの風は大きく二つある。一つは環境問題に対する意識の高まりだ。廃棄物の削減、資源の節約のため、使い捨ての容器でなく、繰り返し使える弁当箱を選ぶ人は増え続けるに違いない。
 もう一つはヘルシー志向の高まりである。肥満大国とも言われるアメリカはもちろん、ヨーロッパでも健康に対する意識は高まっており、カロリーや栄養バランスをコントロールしやすい弁当にもますます注目が集まると言えそうだ。
 販路開拓と並んで産地の課題となっているのが高齢化による職人の減少だ。いくら海外で需要が伸びても、作り手がいなければ話にならない。そこで同社では昨年3月、(有)素地のナカジマ(加賀市)と共同出資で新会社を設立し、ロボットを導入した塗装工場を新設。海外向けを含め、竹中の仕事の20~30%をここで塗装する。
 新工場の稼働も弾みとしながら、竹中社長は今後も焦らず、じっくりと海外展開に向き合う考えだ。


発酵食大学通信部を利用する女性の写真BENTO BOX​​

竹中が海外で販売する弁当箱。美しい色つやが高く評価されている。優れた耐久性、電子レンジや食器洗い乾燥機にも対応する利便性、汁がもれず、2段タイプの場合は食べ終わった後、コンパクトに収納できる機能性も好評だ。容量は日本のものに比べて50%ほど多く、内ぶたにフォークを固定できるようになっている。​

成功のエッセンス
  • 継続的に展示商談会に出展
  • ブランディングで認知度向上
  • 市場のニーズに合わせた商品開発

企業名

(株)竹中
住所 加賀市山中温泉上原町ワ562
TEL 0761-78-0962
事業内容 漆器の製造、販売など
創業 1925年4月​

情報誌ISICOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

いしかわ商品カタログサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク