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日本海の波をモチーフにした新たな輪島塗の器が誕生 ~藤八屋

印刷用ページを表示する更新日:2018年12月10日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2018.AUTUMN|VOL.05

CASE 07 藤八屋

藤八屋女将の塩士純永さんの写真奇をてらわずお客様が
「欲しい」「使いたい」と
思われるものを提案したい。​​

【活性化ファンド採択メニュー】
2012年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)
2014年度 産業化資源活用事業(海外展開支援)
2016年度 産業化資源活用事業(商品魅力向上支援)
2017年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)

日本海の波をモチーフにした新たな輪島塗の器が誕生

海外展開や建材の開発など意欲的な取り組み次々と

収納に便利な入れ子式 

 藤八屋が開発した輪島塗の器「ウェーブボウル」は、その名の通り、能登半島の輪島から見える日本海の波をイメージした形状が印象的だ。縁が波のように柔らかくうねった形になっており、使う人の心に安らぎを与えてくれる。
 ウェーブボウルは直径12.8cmから直径24cmまで5つのサイズを展開する。大きくなるほど、ウェーブのうねり具合も強くなり、各サイズで異なる曲線美を楽しむことができる。また、美しさだけでなく機能性も追求した。大きいものから順に重ねていく(スタッキング)ことで場所を取らずに収納できる入れ子式になっているのだ。一番大きなウェーブボウルよりも一回り大きいプレートも用意されており、収納の際にこれを蓋(ふた)として利用することもできる。
 色は伝統を踏まえた黒や朱のほか、漆と顔料、またはチタン粉を染料で染色した彩粉を独自調合した上塗彩漆を練り合わせ、白漆、芥子(からし)、若草、小豆、藍など、全9種類の多彩なラインアップを実現した。

有名シェフとの共同ブランドも

 ウェーブボウルの開発の端緒となったのは、2011年に石川県で開催された「Cook It Raw(クック・イット・ロー)」というイベントである。これは世界の一流料理人がその土地の食材と器を使って創作料理を作り、招待客に振る舞うイベントだ。そして、ロンドンの高級レストランのシェフとタッグを組むことになったのが藤八屋だった。
 イベントへの参加が決定した後、藤八屋では、能登の風土を大切にしながらも、和食だけでなく、世界各国の料理にも調和するデザインを生み出そうと試作を繰り返し、ウェーブボウルをデザイン、製作した。
 ベースになっているのは、産地に古くから伝わるそろばん型の器である。真横から見るとそろばんの玉のように見える器の厚めの縁の部分を熟練した職人の手によって削り出し、繊細な波形を表現した。
 イベント開催時はワンアイテムだったが、その後、藤八屋では活性化ファンドの助成金を活用し、洋食器のようにセットでそろえて食卓をコーディネートできるようにサイズや色のバリエーションを充実させた。2012年の発売後、毎年コンスタントな売れ行きを示しており、同社の新たな定番商品として定着している。
 また、2017年からは再び活性化ファンドの支援を受け、Cook It Rawを統括したレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ、成澤由浩さんとの共同ブランドによるテーブルウェアの開発も進めている。国内だけでなく、世界的に注目されているシェフとの連携とあって、藤八屋女将の塩士純永(じゅんえい)さんは「これを機に、世界中のシェフにネットワークを広げたい」と意気込んでいる。

シンガポールの学生と連携

シンガポールの学生と連携して商品化したアクセサリーの写真。ブレスレットなどにはシンガポールの国花ランが描かれている このほか藤八屋では、活性化ファンドの助成金を生かし、海外展開にも挑戦している。
 きっかけとなったのは、石川県がシンガポールに事務所を開設した翌年の2015年、県が現地の日本大使館の情報発信施設「ジャパンクリエイティブセンター」で輪島塗を紹介する展示会を開催したことだった。たまたま、塩士さんの長女が夫の仕事の都合でシンガポールに引っ越したこともあり、藤八屋もこの展示会に参加。伝統的な重箱・椀やモダンな漆器などを展示し、輪島塗の魅力をアピールした。
 その後、高級雑貨を扱うセレクトショップでのテスト販売に参加するなど、積極的なPRを続けた。その結果、現地の日本食レストラン、寿司店など数社と取引が始まっている。
 ユニークなところでは、2017年に現地の高等専門学校「テマセク・ポリテクニック」デザイン科の学生との連携に取り組み、シンガポールの国花であるランの図柄をモチーフにしたアクセサリーなど、数アイテムの商品化を図った。

30種類以上の塗り見本

建築内装材の見本の写真。色や表情を変え、30種類以上製作し、営業に役立てている 建築内装材としての用途開発も新たな取り組みの一つだ。藤八屋では活性化ファンドの採択を受け、営業ツールとして、20cm四方の板にカラフルな色漆で彩ったものや拭き漆、布見せ、変塗(かわりぬり)など30種類以上の塗り見本を製作した。これが、有名建築家がデザインした建物の内装に採用されるなど、国内外に販路を広げる糸口となっているほか、見本板自体を壁面のインテリアとして使用したいとのオーダーもある。
 そもそも藤八屋では創業時から業務用漆器を主力とし、得意先にはミシュランガイドで三つ星、二つ星を獲得した料亭、寿司店、鰻店など名店も多い。取材当日も職人が老舗鰻店の数多くのお重の修理に精を出していた。こうした仕事に加え、経営基盤の強化にはライフスタイルの変化に対応し、現代のニーズに合わせた新たな柱づくりが必要だ。藤八屋にとっては活性化ファンドの後押しを受けた数々のチャレンジがそのけん引車となっている。


波のようにうねった縁の形が印象的な、ウェーブボウルの写真ウェーブボウル

波のようにうねった縁の形が印象的。価格は直径 24cmのもので1枚36,720円(税込み)。贈り物としても人気で、企業のパーティーなどの引き出物としてまとまった注文が入ることもある。2015年には日本が誇るべき優れた地方産品500品を国内外に発信する経済産業省の「The Wander 500」に選定された。テーブルウェア・フェスティバル 2016では三田村有純審査員長賞を受賞している。​

成功のエッセンス
  • 世界各国の料理に調和するデザインを開発
  • 海外へも積極的に販路を開拓
  • 建築内装材など用途開発に挑戦

企業名

藤八屋
住所輪島市河井町1-28-3
TEL0768-22-0770
事業内容輪島塗の製造、販売
創業1912年​