ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 石川産業化資源活用推進ファンド事例集 ViVO > メニュー > ViVO 2019.SPRING | vol.06 > 能登栗のおいしさ生かした菓子 自社ブランド商品の柱の一つに ~(株)フジセイカ

能登栗のおいしさ生かした菓子 自社ブランド商品の柱の一つに ~(株)フジセイカ

印刷用ページを表示する更新日:2019年3月12日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2019.SPRING|VOL.06

CASE 03 フジセイカ

阿部幸男品質管理室室長の写真能登栗の味わいを
そのまま生かすよう
心がけています。​​​

【活性化ファンド採択メニュー】
・2014年度 農商工連携事業(一次加工施設整備支援)

能登栗のおいしさ生かした菓子 自社ブランド商品の柱の一つに

栗専用の加工機を導入 一次加工を内製化

素朴な甘みと食感が好評

 土産菓子のOEMを主力とするフジセイカでは、能登栗を使った自社ブランド商品を開発し、売り上げを伸ばしている。
 その一つ、「金沢金箔栗きんつば 極」は上品な甘さの粒あんの中に能登栗の甘露煮が入った商品だ。能登栗がごろごろと入っていて、栗本来の素朴な甘みと食感が楽しめるほか、薄皮の上には金箔をあしらい石川らしさを演出している。2018年3月から自社ブランド「和菓子 加賀陣屋」の商品としてJR金沢駅構内の「おみやげ処 金沢」で販売し、売れ行きは好調だ。
 ほかにも、能登栗を炊き上げてペースト状にした栗あんと生クリームをふわふわのスポンジ生地で巻いた「能登栗の樹々」、栗上々巻の写真能登栗のペーストを練り込んだスポンジ生地に能登栗の甘露煮をちりばめてミルククリームを巻いた「栗上々巻」も観光客らから好評を得ている。
 「“能登栗はおいしいね”と言ってもらえるように余分な手を掛けないようにしています」。阿部幸男品質管理室室長がそう話す通り、どの菓子も素材そのものの味をしっかりと堪能できる仕上がりだ。

大小を問わず仕入れ

 石川県に根を張る企業として、五郎島金時や加賀梨、能登大納言など地元の素材を積極的に取り入れる同社が能登栗を使い始めたのは2005年頃のことだ。仕入れ先は同社に勤める和菓子職人のつてをたどって開拓した。
能登栗の樹々の写真 毎年秋には阿部室長ら社員がワゴン車で産地まで出向き、直接仕入れている。農家には冷蔵庫を置かせてもらい、収穫、洗浄後は2℃で保管して鮮度を維持。農家を応援しようと市場では売り物にならない小さいサイズの栗も購入する。大粒のものは甘露煮に、小粒のものはペーストにといった具合に余すことなく活用するのだ。誠実な取引を継続することで信頼を築き上げ、当初1軒だった仕入れ先は現在4軒にまで増え、能登栗の生産量が伸び悩む中でも安定的な仕入れを実現している。
 仕入れた栗の一次加工は当初、手作業で行っていたが、第一弾として発売した「能登栗の樹々」がヒットし、生産量が増えてくると対応しきれなくなり、四国の企業へ外注した。
 阿部室長は「機械化も考えましたが、1年のうち、数カ月しか稼働しないものですから、設備投資には二の足を踏みました。県内では加工を請け負ってくれる会社が見当たらず、やむなくはるばる四国まで運んでいました」と当時を振り返る。

より柔軟な商品開発が可能に

 こうした状況を見かねて、「加工機を導入して内製化に挑戦してみては」と活性化ファンド事業への申請を勧めたのがISICOのコーディネーターだった。同社の提案は見事採択され、2015年1月には助成金を活用して栗をペースト化するために必要となる機械を導入した。栗を半分に切りつぶして実を取り出す加工機、鬼皮に残った実をこそぎ落とす加工機、裏ごし機の3台だ。さらに同年秋には鬼皮むき機も買いそろえ、これによって甘露煮にした栗を使った商品開発も可能になった。
活性化ファンドの助成金を活用して導入した栗専用の加工機の写真 これらの加工機を導入したことでコストダウンにつながり、生産能力もアップしたが、メリットはこれだけではない。例えば、外注する場合は「渋皮をすべて取り除いてペーストに」といった具合に全量を同じ条件で加工を委託するのに対し、社内に加工機があれば、あえて渋皮を残すなど、生産途中でも加工条件をフレキシブルに変えられる。これによって、より柔軟に商品開発を進めることができるようになったのだ。

原点は自社ブランド

 フジセイカはそもそも自社で開発、製造した菓子を直営店で販売したり、加賀温泉郷のホテルや旅館に納めたりしたのが始まりだ。その後、全国の観光地から土産菓子のOEMを請け負うことで、大きく成長してきた。
 OEMで培ってきたノウハウは自社ブランドの菓子にも活用されている。例えば、「栗上々巻」は常温で60日間、日持ちする商品だ。これは、賞味期限が5日間の「能登栗の樹々」よりも、観光客らが持ち歩きやすく、購入しやすいものをとの狙いで開発した。
 レシピを工夫し、かびの発生や油分の変質を抑える脱酸素包装にすることで、常温でも長持ちするようにした。
 阿部室長をはじめ、同社の社員にとって自社ブランド商品にかける思いはひとしおだ。「OEMは大事な収益の柱ですが、私たちの原点はやはり自社ブランドの商品です。これからも地元の素材を生かして創意工夫を凝らした菓子を開発し、自社ブランドをしっかりと確立し、お客様に喜んでいただける商品づくりをしていきたいと思っています」と力を込める阿部室長。能登栗をはじめ石川生まれの果物や野菜がどんな菓子に生まれ変わるのか。フジセイカの今後の取り組みに期待が膨らむ。


金沢金箔栗きんつば 極(きわみ)の写真金沢金箔栗きんつば 極(きわみ)

粒あんの中に入っている能登栗は大ぶりで素朴な甘みと食感が楽しめる。奥能登の粘土質の赤土で育てられた能登栗は、鉄分やカルシウムが豊富で味に深みがあると言われる。栗を壊さないよう銅製の平鍋で職人が目で確かめながらあんと炊き合わせるなど、丁寧に手作りされている。

成功のエッセンス
  • 能登栗の良さを引き出す菓子づくり
  • 農家との信頼関係を築き、安定的な仕入れ
  • 加工機を導入し、一次加工を内製化

企業名

株式会社フジセイカ
住所加賀市黒瀬町370番地1​
TEL0761-73-1200​
事業内容菓子製造業
創業1969年4月​